コロナ禍真っ只中のご時世、今年はまだ一度もライブへ参戦してなかったのよね。
参戦以前に、そもそもリアルライブ自体自粛政策がとられ、長い事開催されていなかったわけだし。
その間、「代替え」としてオンラインライブが盛り上がってきているわけで、ワタシも、これまでオンラインライブは何回か参戦してみた。

たしかに、これまでのライブには無い視点からライブを見ることでき、それなり臨場感を体験することができる。なにより、チケット代の安さと、チケット完売の心配がないため見たいアーティストのライブをほぼ「確実」に見ることができるのは魅力的だ。

そんなことで初めは手放しに絶賛していたし、新しいライブのスタイルとして今後も発展していくと思う。

ただね・・・。

やっぱりなんか物足りないんだよね。どうなんでしょうねぇ、距離感と言うか、一体感と言うか・・・。「リアル」ライブならではの、あの高揚感、独特な雰囲気ですわな。 あれは、リアルにライブ会場に足を運ばなきゃ味わえない。

ただ、ここにきて、各種イベントの再開、ライブツアー再開が増えつつある。
それとともに、「ライブ会場のあの高揚感・・そろそろ味わいたいっ!」、ワタシの中のライブ熱がムクッ!

そんな折、たまたまニッポン放送を聞いてた時に流れた、「斉藤由貴35周年コンサート」のCM。
初めは「ふーん」と言うくらいだったけど、「シングル中心でやります」っていう一言に引っかかってしまった。

気が付いたときには、チケットぴあに申し込んでいる私が居たり。。。

正直、斉藤由貴さんのコンサートは、「現役」のアイドル時代を含め、一度も見たことない。
たださ、ここの所「ビルボートライブ」などの大人向けのライブハウスでたまにライブを開いており、告知を見ては、ちょっと興味をもったりしていた。
料金も9000円近く取ったり、なかなかの「高額」であるのにも目が付いていたんだけども。
今回のライブも10,000円と決して安くない。それでも、シングル中心で行くという事ならば、高くはないかな・・とも思えたのよね。

なにより「ビルボードライブ」でライブを開くということは、少なからず「大人の雰囲気」のライブになるはずだ。
アイドル現役の頃のようなバリバリ親衛隊コールに紙テープが飛び交ういわいる80年型アイドルのコンサートではないはず。(というか、そんなコンサート今でもあるのか? だけど・・・)

・・ということは、こんなコロナ禍でもゆっくり唄を聴けるライブになるんじゃないか、久々のリアルライブの「リハビリ」にはちょうどいいんじゃないか・・という思いもあったりしてね。


11月14日(土) 3日間のライブの最終日。

コロナ禍でのオンラインワーク勤務といえど、平日参戦はやや気が引ける・・ということで、休日の最終日をチョイス。

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場所は池袋の「東京建物ブリリアホール」。 初めての「ハコ」ですわ。

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指定された席は3階D29番。 舞台に向かってほぼ真下に見下ろす角度だけど、ライブ開催間際にチケットとったんでしょうがない。
コロナ禍対策として席はひとつ飛ばし。なので、実質席の埋まり具合は半分なんだけども、それでもほぼ満席状態。うーむ、リアルライブを待っていた方は、多いようだね。
この日は、同時にネット配信も行われたハイブリット型ライブであり、舞台下には、配信用のカメラと、撮影用のレールが敷かれている。
ただ、最近はDVDリリース用のカメラが入っていることも多く、ライブ会場にカメラが入っていることに違和感はない。どちらかと言えば当たり前の光景ですね。

周りを見渡せば、50代と思しき男性がほとんど。同世代やね。 まあ、当たり前と言えば当たり前か。
でも、ライブ中に斉藤さんがMCで呼びかけたところ、20代っていう方もチラホラ。
この反応に斉藤さんもびっくりしていたけど、昨今の若いコへの「昭和歌謡ブーム」を考えば、不思議ではないですかね。
ただ20代で10,000円のコンサートへの参戦。ワタシが20代の頃は、清水の舞台から飛び降りても考えられなかったけどなぁ。 最近の若いコはお金をかけてもライブに参戦するコいるんだなぁ。

15時ちょうど。ライブスタート。
ライブで5分、10分スタートが遅れることは普通にあることだけど、1分も狂わず、15時ちょうどのスタートにはちょっと驚いた。これも配信を考慮してのことですかね。

いきなりニッポン放送「斉藤由貴、猫の手も借りたい」をモチーフにした朗読からスタート。
まあ、ニッポン放送後援ならではの演出でありますね。
そんな「斉藤由貴、猫の手も借りたい」、ワタシも聴いてたような。 と言っても自分の車を持った20代の頃、番組の最終盤あたりカーラジオで聴いてたんだ。でも10年近くも続いた番組だけあって、同世代にとっては懐かしい番組だろう。

ちょっと気になったのは、デビュー間もなくから通ったニッポン放送、 土曜日夕方からのこの番組。デビューしたてで、行くところ行くところで気を使っていたあの頃、唯一ホッとできる番組だったと語っていたけど・・・。

調べてみたら、「猫の手も借りたい」の前に「斉藤由貴 見えますか?青春輝き色」っていう番組やってたんですよね。同じ土曜日のニッポン放送で。
なので、デビュー直後・・・っていうのは、「猫の手も借りたい」ではなく「見えますか?青春輝き色」ぢゃないのかなぁ・・・なんて思ってしまった私だったり。。。
まあ、どうでもいいことではあるんですが…。

ラジオ番組をモチーフにした朗読につづき、デビュー曲「卒業」のイントロが流れる。
丁度、中学校卒業と同時に大ヒットしたこの曲。 どうしても思い入れが大きくなってしまう。
あれから35年、果たして当時のような声が出るんだろうか・・というのは危惧したくなってしまうが、杞憂だった。
それどころか、キーが当時のまんま。 いや、この曲だけでなく、この日のセットリストで歌った曲はすべて、オリジナルキーのまんま。 これは、ちょっとビックリしましたね。
35年も経てば、普通、キーも下がるもんですぜ。 もっとも、そこにがっかり感を感じてしまったりするんだけども。。。

「卒業」につづき、3rdシングル「初戀」、4thシングル「情熱」と、先日お亡くなりになった筒美京平3部作。
「情熱」が主題歌となった、初主演映画「雪の断章-情熱-」で監督の相米慎二氏にしごかれた事、ゴミのように扱われた話に花が咲く。
それ以上にやはり、斉藤由貴さんにとってもデビュー時の筒美作品には思い入れが強いんだろうか。 筒美さんの曲を歌う時は今でも緊張してしまう。力が入ってしまうとのコメント。

この時、デビュー曲の「卒業」を筒美京平さんが作曲した時のデモテープを当時のレコーディングディレクターだった長岡和弘氏がもっていたということで、このデモテープを会場に流す。

昨年、編曲家の船山基紀氏のトークライブの際にも話が出た、クリック音に続いて始まる打ち込みベースのデモテープのクオリティの高さにビックリ。リズム体もすでに出来上がっているし。
何と言っても、学校のチャイム音を模した、あのイントロ出だしのあのフレーズが、筒美さんのデモの段階ですでにあったんだ・・というのが驚きでした。

まあ、このことは「ニッポンの編曲家」と言う本でもアレンジャーの武部聡志氏も薄く語っているし、16日のテレビ朝日「関ジャム」の「筒美京平特集」で武部氏本人からも直に証言があったんで、見た方も多いと思うけど、実際のデモテープが聴けたのはライブに行った人の特権でしたね。
この部分だけでも10,000円のライブ代の価値があったなぁ。 少なくとも私にとっては。

でも、思うにそうやって筒美氏自ら完成度の高いデモを作って、当時目をかけた若手アレンジャーを育ててたのかもなぁ・・と思いましたね。武部氏も「卒業」当時はまだまだ駆け出しでしたからね。


筒美京平氏のコーナーに続いてては、谷山浩子さんの作詞曲コーナー。
筒美さんの曲から解放され、ここから自由にできると語る由貴さん。

小ネタを含めた「土曜日のタマネギ」。なるほど開放感がでてきた。 そしてシングルとなった「MAY」。 うん、私にとっての1986年だ。 このイメージ。
斉藤さんがよくやってたポニーテール姿によく似てたあの子を好きだった1986年。
あの頃のイメージ「土曜日のタマネギ」とか「MAY」で歌われているイメージそのものだ。

どうでもいいけど、「MAY」のテレビバージョンは、なぜに2番から始まるんだろう? なんてくだらないことを考えてしまうけど、さすがにこの話までは出てきませんでしたね。

そして、最後は「数少ないアップテンポ」の曲です。というMCを挟さみ、「砂の城」をはじめとしたアップチューンコーナーで締め。

アンコールを含め17曲のセットリストは、サザンの20数曲、3時間越えのライブを体験している身からするとちょっと、物足りなさもあったりするけど、リアルライブの「リハビリ」と考えると、丁度良かったかもしれない。

ただ、心残りだったのは、確かに「シングル」中心のセットリストではあったけど、「白い炎」、「青空のかけら」が聴けなかったこと。

この日のゲストコーナーは上白石萌歌だったけど、前日が武部聡志氏、初日が「白い炎」を作詞した、森雪之丞氏と、3日間とも違うゲストだったんですよね。もしかすると「白い炎」は初日、森雪之丞氏がゲストの時やったのかもしれないけど。。。
それと、↑で書いた筒美京平さんのデモテープも、3日間とも違った曲を披露したみたいで。
そんな感じで、3日間で異なる演出の部分あったみたいで、斉藤さんMCが大変だったみたいですね。
訳が分かんなくなったところがあったのか、ところどころMCに詰まったところがあったりして。。。

それを差し置いても「青空のかけら」は個人的には聴きたかったですねぇ。 タップダンスを踏む斉藤さんなんて一番斉藤さんらしくないけど、曲は斉藤さんらしくて、個人的には好きだったんだよなぁ。

そんな残念な部分はありましたが、総括するとアットホームなライブでしたわ。
80年代アイドルの今の姿を体験するライブも悪くない。 そう思えるライブでしたね。



斉藤由貴35th anniversary concert THANKSGIVING 11月14日セットリスト

〜朗読〜
1. 卒業    (1985年 1st シングル)
2.あなたの声を聞いた夜  (1986年 3rdアルバム「チャイム」より)
3.初戀   (1985年 3rd シングル) 
4.情熱   (1985年 4th シングル)
5.土曜日のタマネギ  (1986年 6th シングル ※12インチシングル)
6.Doll House  (1989年 8thアルバム「age」より)
7.MAY  (1986年 8th シングル)
8.少女時代(with  上白石萌歌)    (1988年 6thアルバム「PANT」より)
9.ナラタージュ(上白石萌歌)
10.なぜ  (1994年 14thシングル)
11.AXIA〜かなしいことり〜  (1985年 1stアルバム「AXIA」より)
12.予感  (1986年 3rdアルバム「チャイム」より)
13.砂の城  (1987年 9thシングル)
14.悲しみよこんにちは  (1986年 5thシングル)
15.夢の中へ  (1989年 12thシングル)

アンコール
1.Moon Waltz〜月の輪舞〜  (1991年 10thアルバム「LOVE」より)
2.THANKS!   (1988年 6thアルバム「PANT」より)