かじやんのヒット曲&チャートレビュー

ヒット曲を聴き続けて40数年! かじやんがお送りする、「今」のヒット曲&ヒットチャートから、「あのころ」のヒット曲&ヒットチャートまで、ヒット曲について幅広くご紹介するブログ。 自主チャートサイト"THE HITCHART NOW AND THEN"の支店ページという位置づけにいたします。

矢沢透

帰らざる日々 / アリス

1976_05_帰らざる日々_アリス


今回の1曲セレクトは、「帰らざる日々」アリスです。

まずはデータです。

・タイトル    帰らざる日々
・アーティスト  アリス
・作詞      谷村新司
・作曲      谷村新司
・編曲      篠原信彦
・リリース日   1976年4月5日
・発売元     東芝EMI
・オリコン最高位 15位
・売上げ枚数   31.9万枚
・THE HITCHART HOT30最高位 14位

最近の曲で、歌詞の切り口でこれは凄いなぁ・・と思える曲って少なくなっちゃった気がするなぁ。
まあ、40年以上もヒット曲を聴き続けてくると、ほとんどのパターンの曲を聴きつくしたというか、頭の中に既にインプット済みのパターンのものが多くなって、ちょっとやそっとじゃ、これまで無かったようなパターンの切り口の曲に出会わなくなってきたというのもあるんだけども。

だけど、最近は、いわいるすでに亡くなった方を偲ぶような歌詞の曲、いわいる「挽歌」っていう曲って、少なくなったような気がするなぁ。これも時代の流れなんだろうな。

今回引っ張ってきた曲も、 そんな「挽歌」に当てはまる曲になるんでしょうかねぇ。。


アリス「帰らざる日々」

いや、この曲は、単にすでに亡くなった方を偲んだ曲ではない。 これから自ら「死」に向かう心情、情景を歌ったものだ。「挽歌」とはちょっと違うか。。。

♪ 夕暮れが近づいてくる 私の人生の
 Bye Bye Bye 私のあなた
   Bye Bye Bye 私の心
   Bye Bye  Bye 私の命 〜 ♪

失恋の末、思いつめたうえでの死の選択。
服毒なのか、刺殺なのかは、よくわからない。 けれど、確実に死に向かったことを歌った曲であることは間違いないわけで。

このシチュエーション、 いまじゃコンプライアンスだぁ、なんだぁ・・・とケチつけられて、もしかしたら出せないパターンかもな。

でも、当時にしても「斬新」な切り口ではなかったか

うーむ、ここ何回か「斬新」というコトバを使いまわしてるんで、今回は使いたくなかったけど、どうしても、この言葉しか思いつかないな。


いや、でもどうなんだろう? 考えてみれば70年代中盤、アングラ的な存在として「暗黒フォーク」と言うものがあった。

70年代中盤、それまでの高度成長期の終焉、オイルショックともに訪れた不況。 
若者の間では学園紛争もいつの間にか過去のものになり、代わり発生した「シラケ」ムード。

そんな時代の流れの中で発生した「暗黒フォーク」。 
文字通り人生の絶望をつづったフォークソングですわ。山崎ハコさんや、森田童子さんなどが代表的だろうね。
今を時めく、中島みゆき女史だって1980年の「うらみ、ます」などから、昔は「絶望のための唄」とか言われてた時代もあった。いわいる「暗いコ」のレッテルを張られているような。

それを考えると、↑では「斬新」と書いたけど、当時の世相を反映した、確立された歌のジャンルの一つだったとも言えるかもなぁ。

個人的に斬新と思えたのは、ワタシがヒット曲を聴き始めたころは、そういう「暗黒フォーク」の時代がすでに終わりを見せていて、リアルタイムでは、あまり耳にしなかったからもしれない。

いや、70年代中期でも暗黒フォークと呼ばれるジャンルの曲は、あくまでもアングラな存在であり、ヒット曲として一般にはなじみが薄かったただろうけど。。。

今回ひっぱってきた「帰らざる日々」は、そんな暗黒フォークのように「真っ暗」な曲内容であるのにアングラではなく30万枚以上の売り上げという、一般的な大ヒット曲として昇華させたっていうのが、すごいところなんだろうな・・と思うんだよね。

これには、当時のアリスの地道なコンサート活動による「口コミ」からジワリと広がったという部分も多分にあるんだろう。
いまもそうだけど、一過性ではなくジワリと広がる口こみほど強力な広がり方はないですから。

逆に言えば、そんな地道なコンサート活動から、一般的な見地が広がった効果がはっきりと表れたのがこの曲からとも言えるんだろうね。

たしかに、この曲の前年に「今はもうだれも」というオリコン11位まで行ったヒット曲はすでに出していたアリスではあるけど、この曲は1969年に「ウッディーウー」という谷村氏の先輩筋にあたる、佐竹俊郎氏が所属していたグループの、あくまで「カバー曲」であったわけでさ。
だから、自分たちのオリジナルのヒットしてはこの曲が最初でしたからね。


ただ、この曲が本当に一般的なヒットとして認知されたのは、77年にリリースされたあの大ヒット「冬の稲妻」の後だったんじゃないのかなぁ。

覚えている方は、もしかすると覚えていらっしゃると思いますが、1978年に藤田敏八監督作品「帰らざる日々」として映画化され、その効果もあって、この曲がリバイバルヒットしたんですよね。

個人的に、この曲を知ったのも、このリバイバルヒットによってだったと思う。

まあ、オリコン的に言えば、この曲の最高位を記録したのはリリースされた76年だったわけで、すでに76年から一般的に知られてはいたんだろうけども、78年のリバイバルヒットは、さらにこの曲の認知の裾野を広げたんぢゃないのかなぁ・・・と思うわけなんだよね。

少なくとも、当時小学3年のおこちゃまだった、ワタシでも78年のリバイバルヒットで、この曲を知ったくらいだからさ。




フジテレビ「ニューミュージックスペシャル1976」より

しかしさあ、前々から書いてるけど、「ニューミュージック・スペシャル」って今思えば、貴重なアーティストの、貴重な曲のVTRの宝庫だと思うんだよね。
是非、DVD化してほしいんだけどなぁ。
TVKの「ヤングインパルス」も同じような貴重な楽曲のVTRの宝庫だったけど、こちらは、最近少しずつDVD化されて来てるんでね。「ニューミュージックスペシャル」も是非・・と思うんだけども。。。
まあ、権利的に難しいんだろうねぇ。

・・・と思ったら、曲の途中で切れてる。。。

改めて動画を。。。



でもさ、一般的には、この曲「フォーク」に分類されることが多いけど、個人的には、やっぱ一般的なフォークぢゃないんだよなぁ。
 この谷村氏のこじゃれた曲想は、フォークと言うよりもシャンソンに近いイメージがあったりしますね。
もっとも、ストリングスを効果的に使用したアレンジが、そういう雰囲気を醸し出してくれるんだけど。
そもそもエレピやドラムを多用し、曲によってはエレキが前面に出てくる曲想は、一般的フォークの範疇を越えてるし、それらを含めて考えると、やっぱりニューミュージックなんだよなぁ、個人的な感覚では。
ニューミュージックって、最近言われてるシティポップスのようにイメージが限定されていないだけ、自由にとらえることが出来るところがいい。
まあ、逆に、そういう曖昧さを嫌う人も居るけどさ。




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チャンピオン / アリス

1979_02_チャンピオン_アリス







今日の1曲セレクトは、「チャンピオン」アリスです。

ますは、データからでっす。

・タイトル      チャンピオン
・アーティスト    アリス
・作詞        谷村新司
・作曲        谷村新司
・編曲        石川鷹彦
・リリース日     1978年12月5日
・発売元       東芝EMI
・オリコン最高位   1位
・売上げ枚数     78.0万枚
・ザ・ベストテン最高位 1位
・ベストテンランクイン期間:1978年12月28日〜1979年4月5日


 この曲は、当時のワタシとしては、結構ショッキングな曲の一つだったなぁ。
ほら、大体、このテの曲って、「惚れたはれた」の世界がほとんどでしょ。なのに、まったく違う世界を描いた曲でしたからねぇ・・。
 ボクシングの、しかも「負けた側」の世界・・・。兎に角ね、ガキのワタシには、なんだか分からないけど、震え立つ世界だったんだよね。
 うん、「あしたのジョー」の世界だよね。やっぱし、世代的に、アリスを支持していたヒトたちにとっては、「あしたのジョー」ってのは、永遠だったろうしね。
 滅茶苦茶「ナンパ」なガキのワタシだったけど、男臭さ、男の勝負の世界っていう「匂い」をいやがおうにも感じさせてくれた曲っていうのかな。
 ツイストが「美」の世界、ゴダイゴが「ナンパ」の世界なら、アリスは「硬派」の世界なのかな・・・と思わせたな。
それに、このヒトたち、なかなかテレビに出なかったでしょ。それが、「自分」を確立してるアーティストっても思わせてくれたんだよね。
 この「チャンピオン」にしても、テレビではじめてみたのが、ベストテンの初めての1位を取った時。このときは、出演したんだよね。
 これが、めっちくちゃカッコよかった。演奏はスリリングだったし、3人共に気合入った演奏は、たぶん、このときの最高潮だったんではないかなぁ。フルコーラス、プラス 最後の

 ♪ライラ ライラ ライラ ライ〜♪は、通常のバージョンの倍切り替えして、最後を盛り上げるっていう、テレビ演奏としては、異例の5分以上のほんとに大熱演。 たった1曲の演奏で堀内氏なんて、汗びっしょりだったもんね。
 いやいや、ほんと、サムサムチキン・・・トリハダものでしたよ。あの時は。

 ほんと、大人の世界を感じだな。 アリスの3人ともすごくオトナに見えた。無口っぽかったし、谷村氏にしてもニヒルなイメージがあったしね。 どうも、あの当時よくかぶってた、帽子のせいかもしれないけど、ほんとに、テレビではあんまり
しゃべんなかったんだよね。3人とも。

  いや、まだね、当時は知らなかったの。ラジオであんなによくしゃべってたのを・・・。
 ねー、文化放送の「セイヤング」とか、関西の「ヤンタン」とかで、谷村氏が、あんなによくしゃべってたことを・・・。

 いや、だからね、もし、当時のラジオで谷村氏とか、「アリス」というグループをよく知ってたうえで、「チャンピオン」っていう曲をきいたなら、また、随分違った印象が残ったんだろうなぁ・・・・とは、思いますけどねぇ・・。
 うーん、実際どうなんだろうなぁ・・・。

 でも、アリスってグループは、ツイストとか、ゴダイゴとは別な意味で、ニューミュージックのカッコよさを教えてくれたグループっていえるかなぁ。いや個人的には、そうでしたね。
 たしかに、完全なバンドサウンドではなかったし、グループの形態もちがってたしね。ニューミュージックの形態は一つぢゃないんだって、最初から教えてくれましたね。


 それと、共通して言えるのは、みんな、「本気」でやってたことかな。いや、今のグループが本気でやってないって訳ではないんだけど、テレビとして、みられることに「ズレ」てないんですよ。
 兎に角、3分っていう時間に手抜きなしで魅せてくれたことがうれしかったし、だから、こっちも本気でみてた・・・そんな時代だったんですよね。




2006年2月に書いたものの再掲載です。


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