かじやんのヒット曲&チャートレビュー

ヒット曲を聴き続けて40数年! かじやんがお送りする、「今」のヒット曲&ヒットチャートから、「あのころ」のヒット曲&ヒットチャートまで、ヒット曲について幅広くご紹介するブログ。 自主チャートサイト"THE HITCHART NOW AND THEN"の支店ページという位置づけにいたします。

年間ランキング

2023年年間ランキング公開しました

少し前にサイトには告知しておりましたが、ワタシメのランキング、2023年年間ランキングを公開しました。



今回は、いつもの通り「楽曲別」TOP200の他、「アーティスト別」TOP50も掲載してあります。
アーティスト別ランキングは、2009年以来14年ぶりに作成してみました。
幸か不幸か生業で年がら年中データを扱う仕事をやっているので、アーティスト別のランクも簡単に出すことが出来るようになりまして。。。
まあ、今年のところは去年との比較は出来ないんですが、来年以降も、随時公開していこうと思っています。

ちなみに、2023年にランクインした曲の総楽曲は、657曲。
(前年比 -148曲)
今年は4月で、これまでランキング要素で使用していた「有線」チャートが終了してしまった関係で、5月以降ランキング要素の見直しをしたこともあり、昨年より大幅にランクイン楽曲数は減っています。
年間ランキングの昨年との比較は
トータルポイント30万点以上 1曲 (+1曲)
トータルポイント20万点以上 3曲 (-2曲)
トータルポイント10万点以上 14曲 (+3曲)

トータルポイント20万点以上の超ヒットの数は、昨年よりも少なかったですが、2年ぶりに年間で30万点以上のポイントの曲が出た・・っていうのと、10万点以上が昨年よりも増え、これまた、2年前の2021年レベルに戻ったというのが、一番目についたランクとなりましたね。
昨年よりは、「楽曲」という点では、まずまず充実した年と言えるんじゃないのかなぁ。

ちなみに、アーティスト別では、トータル得点では、
1位 YOASOBI、 2位 ひげだん、 3位 Mrs.GREEN APPLEというランクになっています。
まあ、楽曲別のランクをみれば、この辺は順当な結果なのかなぁ・・と。
ただ、アーティスト別ランクイン曲数を見ると、1位 Snow Man 16曲、 2位 King & Prince 12曲、 3位 Ado 11曲・・・と、大分様相が変わるんだよね。
ランクイン曲数を見ると、旧ジャニーズ強し・・という結果になっています。

これら3組で共通して言えるのは、「動画」閲覧が強い・・ということ。
Snow Man、King & Princeいずれも動画ランキングのみランクインしていた曲が非常に多かったため、こういう結果になっています。
動画ランキングのみ・・であったため、「総合」では上位には上がってきていない曲が多い。そのため、表向きは見えなかったんだけどさ。

Adoも、そうなんだけども、Snow Man、King & Princeいずれも若年層支持が圧倒的と考えると、Youtubeをはじめ動画コンテンツが若年層は強い・・っていうのが、今年は特に如実に出たような結果になった気がしますね。

この傾向は、年間ランキングを集計する前から見えてたからさ。
ちょっと前に今年の紅白、ジャニーズを一掃という前にSnow Man、King & Princeの2組は出すべきでは? って書いたのはそういう理由からだったのよ。



・・・ということで、Adoは、アーティスト別ランクイン曲数が3位 トータル得点が 5位 と安定しているので、今晩の「レコード大賞」は堅いんじゃねぇのかなぁ・・とみる。

ハズレたらメンゴ。。。
昔やってた、「競馬」は、こんな感じでデータから攻めて、結構当たったんだけどなぁ。。もっとも いつも固い攻めになるんで倍率はつかなかったけど。。。。


発表!!2017年間ランキング


えー、年も明けて3日となりーの、すっかり2018年モードになった方も多いと思いますが、ようやっと2017年年間ランキングについてレビュりました。

なお年間ランキングとは、ワタシめで独自集計しておりますヒットチャート THE HITCHART HOT30
( http://www.kajiyan-net.jp/)の2017年1月5日〜12月28日付ランキングトータルランキングに基づくものです。予めご了承くだされ。



 上記期間でランクインした曲数は、トータルで1364曲。 昨年2016年が1377曲に比べるとやや減。
そんな傾向から、相対的に1曲あたりのトータル得点はほんの少しアップ。 例えば50位の得点は、今年は3万点、 100位で2万点をオーバーしました。
 上位の得点傾向は、依然として70〜90年代の往年のヒット曲に比べるとあられもない得点だけど、こと100位以下の得点については、昔の年間チャートそれほど遜色が無いレベルまで復活したように思えます。

ただ、逆にベストテン内を見ると、層の薄さを感じずには居られない印象がつよいですね。
昨年2016年の年間は1位のSMAP「世界に一つだけの花」が10万点オーバーだったし、それに続く曲も10万点に近い曲が多数出てきた訳で、久しぶりにランキングらしいランキングを展開した。
 それに比べると、確かに10位の得点は昨年並み土手あったものの、2位の得点が6万点台と、今一つインパクトがね。。。。。
このあたりから層の薄さを感じちゃうんだろうな。


そんな中で星野源「恋」が13万点強を獲得し年間1位。
昨年の年間が3位だったわけで、2年連続で上位をキープしたのは兎に角リッパ。昨年リリースでありながら今年に入っても4月までベストテン内をキープという無類の安定性を示し、ランクイン週数もトータルで49週と、ほぼ1年間ランクインのロングヒット。
累積得点も20万点をオーバーし、ここ最近では異例の大ヒットとなっている。

「恋」チャートアクョン


ちなみに、今年は久しぶりに「楽曲」の年間ランキングとは別に「アーティスト別ランキング」も作成してみた。
はい、ビルボードチャートに「感化」されてしまいました。。。

それによると、星野源はアーティスト別ランクで、欅坂46につぐ2位。
うーん「恋」の大ヒットからして、アーティスト別でも1位かなぁ・・と思ったけど・・。やっぱり「恋」の大ヒットが別次元だったのかなぁ。

楽曲ランキングでみると、年間2位がミスチル「himawari」、3位が倉木麻衣「渡月橋 〜君 想ふ〜」と、ベテランアーティストの復権が目立った年間チャートだったよなぁ。
特に倉木麻衣「渡月橋」の年間3位っていうのは、予想もしなかったような展開だったかも。 たしかに楽曲もジミだし、ランキング的にも派手な動きは無かったものの、比較的ロングセラーとなったのが年間上位に躍進した大きな要因。 
下図に示したように、10月にネット配信で再ランクインしてきて以来、ジワリと再浮上の気配があり、累積得点はさらに伸ばしてきそうだ。
「渡月橋」チャートアクション



それと2017年頑張ったといえるのは、やっぱり欅坂46の躍進だろうなぁ。
4月にリリースされた4枚目のシングル「不協和音」が年間5位。 続く5枚目のシングル「風に吹かれても」が
10月25日リリースにもかかわらず、早くも年間14位。 昨年11月にリリースされた3枚目のシングル「二人セゾン」が年間18位・・と、今年2017年にランクインした曲はいずれも上位に進出。
アーティスト別ランキングでも、堂々の首位となっている。

欅坂46チャートアクション



また、同じ「坂グループ」のもう一方「乃木坂46」も同様に活躍が目立った1年。 3月リリースの「インフルエンサー」が年間9位とベストテン入り。 その他、10月リリースの「いつかできるから今日できる」が12位。8月リリースの「逃げ水」が16位。今年リリースしたシングル3枚ともベスト20以内にランクインさせて来ている。
アーティスト別ランキングでは4位だったが、2位の星野源、3位のミスチルとほとんど差が無い4位。ランキングの面では安定した動きが目立った1年ではなかったか。レコード大賞受賞も当然だったと思う。

乃木坂46チャートアクション


「坂」グループの両者共に今年のチャートアクションで特徴だったのは、一度ランクダウンしても再浮上してくる曲が多かった事。これがトータルポイントを伸ばす原動力にもなっているようだ。 今年2018年はどのような動きを見てくるのだろう

坂グループが強さを見せた反面、昨年までアーティスト別で強さを発揮していたAKB48は、パッとしない1年だった。 昨年2016年でアーティスト別1位だったが、2017年は6位に後退。週間ランキングでも、結局1曲も「総合1位」を取れないままで終わった。
今年に限ってみれば、「秋元プロデュース」グループの明暗は、はっきりと分かれたような形となった。今年2018年、AKB48の巻き返しはあるのか、それともこのままフェイドアウトして行くのか、いずれにしても時代の分かれ目の年となりそうだ。


これら2017年活躍したアーティストがいた半面、ロングヒットと言う面では、昨年2016年の上位にランクインしたそれぞれの曲が、「超」がつくようなロングヒットだったのに比べ、今年はロングヒットが少なかった。
そこが、昨年に比べるとインパクトに薄い印象が強かった第一の印象だったんだろうね

つまりはさ、今年2017年リリースの曲は、ヒットと言う面では振るわなかったと言えるんじゃないかなぁ。

特に今年はの後半は、これと言ったヒットが少なかった印象。 今年、特に今年後半になるに従って、上記のようなロングヒットが減少の傾向、再度、週ごとにランキングが大きく変動するチャートアクションが復活してきている。 つまりさ、ヒット規模は、再度縮小の傾向にある印象が強いんだよね。

来年2018年は、現在のこの状況を、如何に打破し、昨年のような「大ヒット」の印象に残る曲が如何に出して来るかが、一つの課題になって来るだろうなぁ。

そのためには、フレッシュなアーティストが如何にヒット戦線に出てくるかなんだよね。 今年、ランキングのみならず、楽曲的に印象に薄い曲ばっかりだったか・・・その要因の一つは、フレッシュなアーティストの大ヒットが少なかった事。

例えば昨年だったら、年間のベストテン内に、RADWIMPS、星野源、林部智史、藤原さくらなど、初めてベストテン上位にランクインしたアーティストが目白押しだった。

 それに比べると、今年の年間上位には、フレッシュさが無いんだよね。 年間2位がミスチル、3位が倉木麻衣、10位も平井堅・・とまるで2000年代のような面々。
年間ベストテンにランクインしてきたのは、DAOKO、米津玄師、WANIMAの3組いる事は居るんだが、今一つ印象に薄いんだよね。
これは、やはり結果的に上位に来たものの得点的にも今一つだった事が一番大きいだろうな。、

ま、たしかに、これらベテランアーティスト勢の復権というのは素晴らしいものがあった。でも、個人的にはこれでいいのかなぁ・・・という疑念もあったんだよね。

例えば、最近のランキングでも、例の「バブリーダンス」フィーバーによって、荻野目ちゃんの「ダンシング・ヒーロー」が32年ぶりにチャート上位にランクイン。さらに、CM効果でスピッツの「楓」が20年ぶりにチャートに返り咲き・・と「過去」の大ヒット曲がチャートに再ランクインしてくるケースが増えて来ている。

まあ、当時を知らない若いコ達にとっては、昔の曲もフレッシュに感じるんだろうし、古いヒトにとっても懐かしさを感じられるだろう。ヒット曲の再認識というころでは効果も大きいのかもしれない。

でも、時のベクトルは、未来へしか向かっていない訳で、であれば、ヒット曲も未来へ向かうベクトルが主流になるべき。でも、現状の傾向は、全く逆に向かっているわけでしょ。
 なんで、そう言う傾向になっているのか・・・と言えば、結局のところ、現在の曲よりも、昔の曲の方がインパクトが強い、引っかかりが大きい・・つまりはキャッチーってことなんだろうね。
これは、ヒット曲が未来へ向けて発展すべき、という点では危険な事なのよ。 過去の曲なんて、石油と同じで「資源」は限られている訳だし、掘れば掘るほど枯渇する訳で。。。

なりより、「フレッシュ」さという点では「新曲」に勝るものは無い筈なんだよね。

その辺が、今年2017年で大ヒットが少なかった、ヒット規模が停滞した、一番の要因だったんじゃないかなぁと思うんだよね。

かといって、最近の曲が全部ツマンナイかというとそうじゃないんだよね。 

個人的に・・と言うところだけど、aikoの新曲「予告」、安室の「Showtime」なんか新鮮だったしさ、アイドル然としてはリトグリなんかは良いと思う。安心して「ウタ」が聴けるし。
あ、そうそう、最近ではOfficial 髭男の「LADY」が、瑞々しさにあふれてて良かった。

また、2017年アーティスト別ランクで9位に急上昇してきた米津玄師にも期待。
↑で書いたように2017年は結果的にアーティスト別でベストテン入りしてきたが、今一つ存在がジミという実感。
本当のブレイクと言えるのがどうか、なんとなしに中途半端な存在の印象なんだよね。
2018年はもう一段でかいヒットを飛ばし時代の中心になる様な躍進を期待したい。その時本当のブレイクと言えるんぢゃないかなぁ。

2018年は、いままでヒットチャートの上に来た事が無かったようなアーティストが、如何にヒットを飛ばしてこれるのかだろうね。 特に上で上げたリトグリなんかが、もっとブレイクしてくると面白いんだけどねぇ。
 音楽を聴いてるこっち側としては新しいアーティストの登場は常に期待しているところだしさ、実際的にそう言うアーティストの登場、ブレイクによって、2017年停滞気味だったヒットチャートは、もっと活性化してくるはず。
2018年はこの辺に期待したいですね。

今更ながら・・・・2016年年間チャート発表!

 毎度毎度の事で、大変申し訳ないのですが。。。
2017年も明けて、20日も経ったっていうのに、重ーい腰を上げてようやっと、昨年「2016年」年間チャートの概要を書きましたので上げます。

なお、コレに書く年間チャートについては、僭越ながらワタクシが毎週独自に集計しています、「THE HITCHART HOT30」(http://www.kajiyan-net.jp)の2016年1月7日〜12月29日付ランキングに基づきます。


上記の間、チャートにランクインした全曲数は1377曲。 これは、前年2015年の1488曲から100曲以上少なくなっています。
 これは、相対的に見て1曲あたりのトータルポイントは伸びていると言う事を示しています。
現に、今年は年間1位のSMAP「世界に一つだけの花」が、2013年のAKB48「恋するフォーチュンクッキー」以来3年ぶりで、年間トータル得点が10万点をオーバーしました。
 その他上位4位まで9万点オーバーという、近年では稀に見るような高得点でのランキング決着となっています。これは、2008年の年間ランキング以来 7年ぶりの水準です。

一時は、1曲に人気が集中する本来の意味での「ヒット曲」の時代は終わってしまった、これからは知ってるヒトだけ、その曲を支持する・・という「ニッチ」の時代となる・・・と言われたものですが、この傾向を見る限りでは、再び、1曲に浮動票が集まるような「本来」のヒット曲の姿が戻ってきたように思えます。

とは言っても、完全に昔のような浮動票が1曲に集まるような本来のヒット曲の姿の傾向に戻ってきたのか・・・といえば、まだそこまでは言えないんですよね。
 年間チャート上位では、トータルポイントが軒並み、前年を上回っては来ているものの、切り番ランクである、50位、100位の得点水準を昨年、一昨年と比べてみるとほとんど変わっていないんだよな。

これを見る限り、年間チャートの最上位曲では浮動票が集まるような本来の意味での「ヒット」の姿に戻りつつあるものの、大多数の曲では、「固定ファン」のみ支持されている・・・という、ここ数年のチャート傾向がまだまだ続いていると言えるでしょうね。

ただ、昨年に引き続き最上位の曲では、ヒット傾向に変化が見られて来ていることは間違いないですし、これら、本来の姿のヒット曲が、どこまで広がって行くのか・・・・これが今年のヒット曲界の課題になるんではないですかねぇ。


さて、上で書いたように2016年の年間1位は、SMAP「世界に一つだけの花」。
 まあ、この曲については既に「国民的」なヒット曲の域に達しているんで今更、内容を言及しなくてもいいのですが。。。
 2003年リリースの曲であり、ワタシのチャートでもリリース年の2003年に一度、年間1位となっています。なので、リリースから13年越しで、2度目の年間1位を獲得・・・って事になりますね。
 このように、1度年間で1位を獲得した曲が、またまた年間1位となる事は、これまで41年のチャートを集計してきて史上初の快挙。 しかも、リリースから13年経ってからの年間1位というのも初の出来事です。
 それだけ、昨年のSMAP解散フィーバーは凄かったと言う事を物語っているでしょうね。 別途1曲セレクトで、先日キャンディーズを書いた時にも言及したんだけども、このような解散フィーバーは、77年〜78年に起こったキャンディーズ解散フィーバーにも類似した出来事。
 コア固定ファンだけに留まらず、ライトなファンも巻き込んだ(と見える)この解散フィーバーというのが、特徴でしたね。  これは、前出のキャンディーズ解散の時とも同じような現象ではあったんだけども、ただキャンディーズの時よりも規模が大きいように感じますね。
実際的な売り上げというよりも、その期間ですね。 キャンディーズの時は、解散宣言をした77年夏から、翌4月に解散するまでの、約9カ月の出来事。
 けど、今回のSMAPの場合は、昨年1年間、同じようなフィーバー状態が続いたような印象があるな。
それだけ、日本中がSMAPの解散フィーバーの渦中にあったという1年だったと言えるんじゃないかなぁ。

下図Fig.1に昨年2016年1年間の「世界に一つだけの花」の総合ランキング推移を上げてみました。

1-世界に一つだけの花_総合ランク推移


これを見ると、昨年1月28日付で、ランク上に再登場して以来、週により上下動が激しいチャートアクションを繰り返しながら、ほぼ1年にわたりチャートインし続けています。
その中でも、SMAP騒動が勃発した、昨年1月末〜2月にかけてと、解散が決定した夏以降のチャートアクションが活発であった事は一目瞭然ですわね。

特徴的なのは、ランキングを牽引している要素が、「CDセールスチャート」であると言う事。
年間を通してCDセールスの流れに追随して、ネット配信、有線、ラジオの各要素のランキングが動いてきたランク傾向でしたね。

下図Fig.2に、「世界に一つだけの花」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

2-世界に一つだけの花_各要素推移


いわいる「販売系」チャートでは、CDセールスチャートよりも、ネット配信系チャートで総合的なランキングを牽引すると言う傾向が、ここ数年の主流になってきているところを見れば、総合ランキングの牽引要素が「CDセールス」であった事は、かなり異例な傾向。
 まあ、元々ネット配信には力を入れていないジャニーズなので、販売系ではCDセールスに頼らざるを得ない訳なんだけども。。
いわんやSMAPのコアなファン層の多くは、ネット配信よりもCDという年齢だろう。だから、CDセールスが主軸になるのも当然ではあるところなんだけども、それを差し引いても、この「世界に一つだけの花」の昨年1年のCDセールスの動きは、近年のヒットチャートでも異例でしたね。
 

年間2位はRADWIMPS「前前前世」。
この曲、2016年上半期ランキングではまだリリース前と言う事でランクインしていなかった訳で、下半期だけでここまでヒットした曲と言う訳ですね。
 
 まあ、この曲はなんと言っても映画「君の名は」の主題歌ということで、映画の大ヒットとリンクしてココまでのヒットとなった訳だけど。

下図Fig.3に「前前前世」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

3-前前前世_各要素ランク推移


 チャート的に特出することは、この曲はCDシングルのリリースは無いんだよな。だから総合チャートの要素として、上図でも分かるように、CDセールスの得点は「0」。全く含まれていないって言うところだろう。
 その代わりの牽引要素は、ネット配信中心だった事は言うまでも無い。
ただ、ネット配信だけのランクが良かったのか・・・というとそうではないんだよね。
ネット配信の動きに伴い、有線、ラジオチャートでも長期上位に君臨。このように販売系、メディア系と、幅広い要素がそれぞれリンクし合い同時期にチャートの上位を占めていたたことが、得点アップの原動力になっている。
この点が、昨年までの「ネット配信」中心の楽曲とは、やや異なってきた点ですね。

たしかに、昨年までもネット配信で長期上位に君臨し続けた曲もありました。
でも、この「前前前世」と若干違うのは、ネット配信は強くても、有線、あるいはラジオという、いわいるメディア系チャートは必ずしも上位までこれなかったって事なんだよね。

これらを比較するために、昨年2015年の年間1位だった、西野カナの「トリセツ」の各要素別ランキング推移を、昨年に引き続き、再度、下図に載せてみます。

トリセツランキング推移


これを見ても分かるように、この曲もネット配信中心の「前前前世」と同様な傾向の曲であったんだけども、その他ネット配信同様な動きを見せていたのは有線だけだったんですよね。ラジオチャートも当初はシンクロした動きだったけども、途中で息切れしてしまった。

このように各要素でのチャートアクションに差が見られたと言う事。 だから、配信チャートだけを見るとポイントを稼いでいるが、総合的に見ると、それほど得点が伸びなかったって事が多かったわけでさ。
昨年の例で言えば、その他、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I」なんかは典型的だったかな。

でも、この「前前前世」は、CDシングルはリリースしていなくても、有線、ラジオなどメディア系にも充分アピールでき、それにより、より幅広い支持を獲得できた、つまり、ネット配信が、昔のレコード、CDの完全に代わりになっているっていうところは、これまでのヒット曲からみると、ちょっと違った形のヒットだったと言えるだろうね。

 年間4位の宇多田ヒカル「花束を君に」も、ネット配信中心と言う点では、「前前前世」と同じような傾向の曲であったといえる。
 ただ「花束を君に」は、途中でラジオチャートが息切れして、最終的にはネット配信と有線の2要素でチャートを牽引し、得点を積み上げてきたって言う傾向に移行した訳で、そう言う点では、昨年の西野カナなどに見られた傾向と同じような感じになってしまい、それだけランクイン期間が非常に長いロングヒットになったが、思ったよりは得点が伸び切れなかったとも言えるかもしれない。

このようにシングルCDがリリースされていないということは、CDセールスの得点は「0」になるわけで、ウイークリーでの得点は大きく伸びる事は期待できない。だから見た目上、派手なチャートアクションをすることは難しい。
でも、各要素で、地道に得点を伸ばせば、結果的に派手なチャートアクションをしているよりも、最終的には得点を伸ばせるというのは、これらの曲によって充分証明出来たんじゃないかと思う。

このようにシングルCDという、いわいる「パッケージ」に必ずしも頼らなくても、浮動票を噛むような幅広い支持を得られるヒットが「本格的」に生まれるようになったというのも2016年の特徴だったろうし、恐らくこういう傾向は、ますます今後の主流になって行くだろうね。


で、同じような傾向にあったのが、年間3位まで浮上した、星野源の「恋」。
この曲もリリースは10月だから、RADWIMPS「前前前世」同様、下半期だけでここまでランクを上げてきた1曲となるわけだけど、何より、僅か3ヶ月で、年間3位まで上げてきたっていう「爆発力」が、この曲の特出点だろうね。
まあ、それだけ秋以降の「逃げ恥」と「恋ダンス」のブームの凄さを表しているところなんだけどさ。

下図Fig.4に「恋」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

4-恋_星野源_各要素ランキング推移


 この曲のランキング的な特徴は、もちろんネット配信での圧倒的な人気。配信開始以来年末まで10週連続で1位という圧倒的強さを見せている事は勿論、CDセールスでもロングセラーを続けている事。
 ネット配信では圧倒的な強さを見せるような曲では、CDセールスも初動こそ強さを見せつつも、あっという間にランクを下げるっていうのが、チャートアクションのデフォルトである昨今では、これは異例な傾向。
そそそ、ネット配信もCDセールスも両方で強い・・と言う傾向ですね。 それだけ、この曲の人気の幅の大きさを物語っている訳なんだけどさ。 そんな販売系チャートの動きに引きずられた形で、有線、ラジオのメディア系チャートでも、上位をロングラン。 その結果、毎週のウイークリーチャートでも、初登場以来ベスト3以内を11週間ずっとキープ。そのうち、1位を5週獲得・・・と。これまた、最近では異例の1位獲得週数を見せた。
 昔は、毎年年間に何曲かは、こういう曲が出てきたものだけど、こういう本当の意味でヒット曲、それも強さを伴ったヒット曲を久々に見たような感じですわ。
 正直、猫の目チャートが一般化された昨今、一時は、もう、こういう本当の強さを感じるヒット曲、幅広く支持されロングヒットは出てこないんだろうなと思ってはいたけどね。

でも、今の時代でも、こういう強さを感じるヒット曲が出てきた訳だし、いや、逆に今の時代でもこういうヒットも出る事を証明したわけだしね。
あとは、こういう曲が今後も増えて行って欲しい訳ですわ。 そうなった時に、本当の意味でヒットの「V字回復」が成ったと言える訳だしね。
 そのためには、去年がフロックだったと思わせないように今年のヒット曲状況も大事。 2016年以上にこれらのようなロングヒットが出て来て欲しい訳ですわな。


P,S 長文、乱文、まことに、相スミマセン。。

2015年年間チャート発表!!

 2016年も明けて10日余り経とうとしているのに、今頃2015年の年間チャートの解説ということで、大変申し訳ないですが、いつもながら、ようやく重い腰を上げて昨年1年間のチャート傾向をまとめてみました。

えー、対象ランキングは、ワタクシが毎週独自で集計しております、「THE HITCHART HOT30」( http://www.kajiyan-net.jp/ )  の2015年1月1日〜12月31日付ランキングのトータルポイントを集計したものとなります。

で、昨年1年間でランキング入りした楽曲の総数は1488曲。これは過去40年間で最高。一昨年、2014年のランクイン曲総数が1358曲だったので、100曲以上もランクイン曲数は増加した事になります。
これは、相対的には、1曲あたりのトータルポイントの平均は減少しており、さらにヒット規模は、小さくなっているということを示しています。

ただ、すべての曲がトータルポイントが昨年に比べ減少しているかというと、そうではなく、年間トップ10内の曲、特にベスト3は、2014年の年間ベスト3よりも得点を伸ばしてきており、一部の曲では、ヒット規模は、2014年を上回ってきているという結果になっています。

特に、年間1位の西野カナの「トリセツ」のトータルポイントは8万点を越えてきており、年間トータルポイントが最低で1位となった、2014年の「レット・イット・ゴー」を1万点近く上回ってきています。

「トリセツ」は、9/10付で53位初登場。翌週20位に急上昇し、さらに翌週1位を獲得。3週連続で1位を獲得しました。ベストテン内には7週連続ランクイン。一度はベストテン外にダウンしたものの、11/26付にはベストテン内に再登場という。最近の曲としては息の長いチャートアクションを展開しています。

 これらロングヒットとなって居る最大の要因は、兎に角ネット配信が強い事。これは、最近の西野カナの最大の強みとなっていますね。

 下図に、「トリセツ」の各要素のランキング推移を示してみました。

トリセツランキング推移


















上記のようにネット配信のいわいる販売系チャートが強いことは一目瞭然ですが、それだけではなく、その他、有線、ラジオチャートのいわいるメディア系チャートでも、ネット配信に引っ張られた形で強さを発揮してきており、そのため、週ごとのポイントが伸びてきた事が、結果的に総合的なポイントの伸びに繋がってきています。

 2014年間チャート解説でも、西野カナの「Darling」で同じような解説を行ったんだけど、「Darling」以来、西野カナの楽曲は、ある一部の要素で強いというわけではなく、「総合的」な強さを発揮してきており、「トリセツ」にも、さらには、年間3位にランクした「もしも運命の人がいるのなら」も同様な強さを発揮したと言う事が言えますね。



さて、年間2位には、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I.」がランク。
これには、びっくり・・・っていう方も、もしかして多いのでは?  なんせ、この曲、昨年2015年リリースの曲ではなく、一昨年2014年6月リリースの曲なわけですから。。。
 なのに、なぜ2015年の年間2位なのか・・・・・と言う事なんですが、この曲、兎に角、「超」がつくほどのロングヒットを続けている・・という結果がこのランクと言う訳ですね。
 2014年リリースの曲なのに、昨年1年間でランクインしたのが50週。 11/26付にランクからこぼれた以外はすべの週でランクイン。 2014年の7/3付で初登場して以来、73週もランクインを続けているという、ワタクシのランキングでも稀に見るロングランクインとなっています。

その最大の要因が、兎に角ネット配信で稀に見るほどの強さを見せている事。これは、1週間でとてつもないダウンロード数を示しているという訳ではなく、コツコツと、毎週毎週地道にダウンロードを重ねており、その人気が一向に下がらない・・・と言う事が最大のポイントですね。

下図に、「R.Y.U.S.E.I.」のネット配信の、初登場以来のチャートアクションを示しました。 
RYUSEI_配信ランキング推移














 上記のとおり、週間チャートでは最高1位を記録しているものの、1位を記録したのは、初登場の2014年7/10付と、2015年4/23付の、2週のみで、その間、ランクの浮き沈みジクザクの動きを繰り返しているものの、一向に30位を下回る気配を見せていません。ジワリジワリと人気を保ち続けているんですよね。
 チリも積もれば山となる・・・ということわざ通り、この間、ジワリジワリと人気を集めた結果が、2015年の年間2位に結びついた・・・と言う動きを見せています。
 つまり、これは「固定ファン」だけに受けているという動きではなく、徐々に「浮動票」、いわいるライトユーザーな人たちの人気を取り込んでいっているという結果でもあるんですよね。 こういう曲は「ヒット」という意味では、本当のヒットと言えるわけなんですよね。


 このように、年間上位にランクされた曲は、ネット配信でロングヒットを得た曲が多いというのが、今年の年間チャートの最大の特徴ですね。
 この傾向は、一昨年2014年から目立ってきては居たんだけど、昨年2015年はさらに顕著になってきましたねぇ。
 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEは、上記の「R.Y.U.S.E.I.」の他、「Unfair World」、「Summer Madness」も上位にランクさせて来ています。また、昨年ブレイクし、年間7位にランクインさせたUNION SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」にしても、ネット配信でのロングヒットが、ここまで得点を伸ばした大きな要因となっています。

 まあ、これは、2014年の年間チャート総評でも書いた事なんだけど、「ヒット」を左右する要因として、販売系では、パッケージ(CD)の影響はさらに小さくなってきており、逆にネット配信の影響がさらに強まってきたといえる1年だったも言えますね。
 簡単に言えば、「CD」は、コアなファンが購入するアイテムであり、ネット配信がそれを補完する「浮動票」(ライトユーザー)が購入するアイテムという図式がさらに強まってきたという事ですね。
 さらに言えば、昨年は、ネット配信もサブスクリプション(定額制)が本格的に開始されたという事で、ネット配信だけでも、コアなファンが購入する⇒ダウンロード型、浮動票(ライトユーザー)が聴く⇒サブスクリプションという感じで、棲み分けがされ始めてきており、今後は、パッケージはさらに「コア」なファンのためだけのアイテムにな縮小されて行く思われます。ゆえに、トータルな「ヒット」という面では、さらに影響力は少なくなって行くでしょうね。

 ただ、ネット配信で超ロングヒット曲が多くなったというところだけど、内容的に見ると、上記の「R.Y.U.S.E.I.」もそうだけど、「2015年」リリースではない曲が、年間の上位にランクインしてきたというのも今年の大きな特徴だと思いますね。
 ランキング的には、年間9位のSEKAI NO OWARI「Dragon Night」、年間27位の秦基博「ひまわりの約束」、年間40位の西野カナ「Darling」は、全て2014年リリースの曲。しかも2014年の年末ではなく、夏〜秋にかけてリリースされた曲が2015年にもロングヒットさせ、年間でこの位置にランクさせて来ています。

ちなみに、先日、1976年〜2015年まで40年間をトータルした「40年間ランキング」を発表しましたが、チャートにランクインした週数をカウントした、ランクイン週数ランキングのうち、上位10曲を下表に抜きだして見ました。

ランクイン週数ランキング











ランクのうち「黄色」で塗りつぶした曲は、2014年以前にリリースされランクインしてきた曲ではあるけれど、昨年2015年に長躯ランクインさせ、ランクイン週数の上位に進出してきた曲となります。
実に上位10曲中、5曲が昨年2015年に長躯ランクインさせている曲になって居ます。
 ランクイン週数ランキングでは、90年代来、ヒット期間の短縮傾向が年々強まってきて居たために、92年の
高山厳「心凍らせて」が20年以上、ランクイン週数ではトップを保ってきましたが、ついに昨年2015年末までに山下達郎「クリスマスイブ」と、SEKAI NO OWARI「RPG」に並ばれてきてしまっています。

 まあ、山下達郎「クリスマスイブ」は、なんせ30年もの長い期間をかけてのこの数字なので、「いつかは・・・」ということが以前から予測出来てはいましたが、SEKAI NO WARI「RPG」は全く予測出来ませんでしたね。
 加えて、件の三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、「R.Y.U.S.E.I.」もすぐそこを追いかけてきているという状況で、もしかしたら上3曲を抜く日も近いかもしれません。
(ちなみに、2016年1/14付ランキングでは、「クリスマスイブ」も、「R.Y.U.S.E.I.」もまだランクインしています)

これらの楽曲で共通しているのは、いずれも「演歌」ではなく「ポップス」と言う点。超ロングヒットと言う傾向は、昔・・・いやいや、少なくともここ数年前までは、「演歌」の専売特許みたいなところがあり、ポップス系は超ロングヒットは難しい・・・というのが通説でしした。ただ、今回のランクイン週数の上位の傾向を見る限りでは「ポップス」でも、超ロングヒットになりうる時代になったという事が充分分かりましたね。
 
 その傾向の一番の要因が、やはりネット配信と言う事ですわ。ネット配信の世界では、より多くのヒト達に支持される曲は、リリース年を問わず、長躯ヒットさせることが可能・・・っていうことを、この傾向は示しているんじゃないかなぁ。
 ・・・ということは、今後も、このような超ロングヒットとなる楽曲が出てくる可能性はあるだろうし、いやいや必ず出てくるでしょうね。

 だけれども、「過去」にリリースされた曲ばかりではなく、2016年ならば、2016年にリリースされた楽曲の中でこのようなロングヒットが多く出てきて欲しい・・・っていうのはありますね。

ただ、昨年の傾向を見る限りでは、一時期の「CDは売れない」、ヒット期間も短縮・・・と言うどうしようもない負のスパイラルな時期は、「ヒット」と言う点においては、脱出しつつあるのかな・・・っていう明るい兆しが見えてきたんじゃないかなぁ。
 この良くなってきた状況下で、今年もたくさんのヒット曲が出てきて欲しい。ただし、いつも書いてるように、「安い、早い・・・」の吉野家の牛丼みたいな曲ではなく、充分に練りこまれ、より多くのヒトに「いいね!」と感じてもらえる様な楽曲が出てきて欲しいですね。
もう、その曲が好きなヒトだけに支持されるというニッチに支持される時代は終わってきています。今後はより多くのヒトに支持される曲を期待したいですね。

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かじやん