1976_01_青空、ひとりきり_井上陽水


今回の1曲セレクトは、「青空、ひとりきり」井上陽水です。

まずはデータです。

・タイトル    青空、ひとりきり
・アーティスト  井上陽水
・作詞      井上陽水
・作曲      井上陽水
・編曲      矢野誠
・リリース日   1975年11月25日
・発売元     フォーライフ
・オリコン最高位 8位
・売上げ枚数   25.5万枚
・THE HITCHART HOT30最高位 9位
・ベストテンランクイン期間:1975年12月10日〜12月29日付

2022年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
さて、今年1発目の1曲セレクトは、そのタイトルから、今の時期の曲ということを忘れて、気が付くとヒット時期をいつも逸してしまっていたこの曲。

井上陽水「青空、ひとりきり」。

どうもね、タイトルからして、初夏とか、夏のイメージがあるんだよね、この曲。
で、いつもその頃になると思いだして、引っ張ろうと思うんだけども、実際のヒット時期を調べると、真冬の今頃なんだよね。

1976年の初夏の頃、たしかに井上陽水氏のヒット曲あったよな・・・という頭はあるんだけどね、どうも、次のシングルの「Good,Good-Bye」と間違って覚えている節もあるのよ。

今回、偶然にも、今の時期に「そういえば・・・」というのを思い出して引っ張ってきましたわ。

リリースが1975年11月でしょ。ワタシゃ6才、幼稚園の年長組の頃ですわ。

当然、井上陽水氏の曲はリアルタイムで聴いてないよなぁ。

ただ、自分のランキングを作り始めた時、 そそそ、1976年1月から作り始めたんで、その一番最初の週でベストテン近くにいたんで、よく覚えてますわ。

1976年のチャートを作り始めたのは、ワタシが大学生の頃なんで、かれこれ30年近く前になる。

冬なのに、「青空、ひとりきり」って、どうも冬っぽくないタイトルなんで。

一体どういう曲なんだろう? っていうのは、ずっと引っかかっていた訳よ。

きちんと聴いたのは、いつだろう?  いや、それほど昔ではなかったはずだ。

でも、初めて意識してこの曲を聴いたとき、 Aメロの

♪ 楽しい事なら何でもやりたい〜 ♪ という出だしのメロディをいた途端、「あ、この曲か〜」っていう思いがあったんだよね。

きっと、メロディとタイトルが一致していないところで、昔聴いてたんだろうな、この曲。

もちろん、いつ聴いていたかという記憶は全くない。

でも、今、この曲を聴いて浮かんでくる、絵面は、どこまでも70年代の中盤ですわ。
TBSの「おはよう700」っていう、平日の朝のワイド番組やってたじゃん。あの中の人気企画だった「キャラバン隊」。 あそこでかかっていた一連の曲、例えばこの時期だったら、ダニエルブーンの「ビューティフルサンデー」とかさ、もう少し後では、のジョニー・ウエイクリン「イン・ザイール」とかあの辺で思い浮かんだ絵面に近い。

うーん、うまくコトバにならないんだけども、70年代中盤頃の空気感なんだよ、どこまでも。

このころ、いわいるニューミュージックがメジャーになりつつあったんだけど。
そそそ、今をときめく「シティ・ポップス」を含めた、新たな形態の音楽だ。対歌謡曲としてのシンガーソングライターを中心とした新しい音楽の地平。

この曲も、当時確立されつつあった、そんなニューミュージックに属する1曲なのかもしれない。
フォークでもない、ロックでもない新しいタイプの1曲。

ただ、今でいう「シティ・ポップス」ほどは垢ぬけていない。 まだどこかフォークの残り香も感じるし。 ただ、かぐや姫のような純粋なフォークではない。あくまでベースとしてのフォークあであり、表面的な部分はもっと別の音楽なのよ。 あの頃世界的にはやっていたソウル的でもあるし、バックでなっているブラスは、この曲の少し前のブラスロックっぽくも聴こえるし、R&Bっぽくも聴こえる。

恐らく高中正義氏が弾いていると思しき、イントロのギターリフの音色とかね。少し前の「猫」の「雪」っていう曲を彷彿させたりして、つまりは表面的には黒っぽい音なんだよね。

そんなサウンドに、悲鳴にも似た金切声っぽい陽水氏の高音のボーカルが乗っかると、何とも言えない不思議なグルーヴになるのよ。 なんていうのかなぁ、もう少し後の時代の言い方だと、「無国籍」な音楽っちゅうのかなぁ。

そうだ、そんな「無国籍」なグルーヴ感が、あの1970代中盤のころのニューミュージック確立前夜の音楽から醸し出される匂いなんですよ。

スナックで飲むコーヒーの香りっていうのかなぁ。 コーヒーの香りと、酒の匂いが入り混じって充満しているような空間の匂い。
あの頃、幼馴染の友達の家で経営していたスナックに遊びに行ってたんで、その匂いの記憶がこびりついているんだろうけど、私的に1970年代中盤という言って感じる匂いは、そんな匂いですわ。

たださ、この曲の次のシングル「Good,Good-Bye」になると、俄然、シティ・ポップっぽい、都会的なあか抜けたサウンドになる。

この間、僅か数か月なんだけども、この間に、ニューミュージックっていうジャンルは、完全に確立されたといってもいいんだろうね。

確かに、ユーミンの「翳りゆく部屋」なんかも、全く同じころの作品だし、まさに時代の変革期が、この数か月の間で進んだとも言えるんじゃないかなぁ。

そんなまさに時代の端境期の只中にあった1曲ですね。 この「青空、ひとりきり」っていう曲は。


ちなみに、「青空、ひとりきり」も「Good,Good-Bye」も76年3月にリリースされたアルバム「招待状のないショー」に収録されている。
そんな時代の端境期、サウンドの変化が1枚に凝縮されているアルバムだったりもするんだよね。




なお、この「青空、ひとりきり 」から、陽水氏もフォーライフからのリリースになったわけですね。
1975年、小室等氏を社長として、井上陽水、泉谷しげる、吉田拓郎という、当時のトップフォークアーティスト4人で設立したレコード会社。

レコード制作だけではなく、アーティスト自ら、営業、宣伝までの全権を握りたいという、日本で初めてのアーティスト主導のレコード会社として設立。

紆余曲折はあったものの、その後の業界にもたらした影響は大きいわけですわな。


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