1993_11_真夜中のダンディー_桑田佳祐






今回の1曲セレクトは、「真夜中のダンディー」桑田佳祐です。

 まずはデータです。

・タイトル     真夜中のダンディー
・アーティスト   桑田佳祐
・作詞       桑田佳祐
・作曲       桑田佳祐
・編曲       桑田佳祐 片山敦夫
・リリース日    1993年10月6日
・発売元      ビクター
・オリコン最高位  1位
・売り上げ枚数   71.1万枚
・THE HITCHART HOT30最高位 1位
・ベストテンランクイン期間:1993年10月25日〜11月22日付
・タイアップ:キリン「ジャイブ」CM曲

 昔、「エロ歌謡」の放送自粛についてちょろちょろ書いた事があって、その時は「ヒット曲のほとんどはSEXのこと歌ってんだからして・・・」って書いたんだけど、よくよく、考えて見れば、最近、そこまで描写されている曲さえ、少なくなってるような・・・っていう感じもするんだよね。

 この間、大橋純子さんの「たそがれマイラブ」を書いた時、ヒット曲に必要なのは「色気」って書いたんだけど、なんかさ、最近の曲に物足りなさを感じてきたのは、もしかして、その辺の色気というかヤバさも薄れてきたからじゃないのかな。

 多分、これも「音楽ビジネス」ではなく「ビジネス音楽」に変貌してきた、ある意味、業界の変貌ぢゃないかな・・・って思ったりして。

 つまりさ、「ビジネス」を「音楽」の前に置いた時、「ヤバい」ものっていうのは、ビジネスの妨げになるんですよ。だから、安全な方へ安全な方へ・・・と行ってしまう。

 それが、もともと感じた、ヒット曲へのヤバさが希薄なってきて、曲に訴求感が薄くなってきたんじゃないか・・・・そこが、最近の曲に魅力が薄らいできた、ひとつの要因になってるんじゃないかな・・・って思ったんだよね。


 例えば、コアメロ系のパンク系のロックバンドって多いよね。でもさ、ほんとの意味でのロックやってるヒトってどれだけいるんだ? って思ったんだよね。

 もともとロックの起源は、反体制の音楽だったわけじゃない? 社会に対して、すべてを否定してみせるツッパッた音楽がロックだと思うんだよね。リズムや形式じゃないんですよ。

 果たして、今、そういう、反体制な音楽をやっている奴らってどれだけいるんだろう? 本当の意味でのロックをやっている奴らってどれだけいるんだろう? って思っちゃったりしてさ。

 きっと、そういう意味で、本当のロックをやってる奴らって、ほとんどいないと思う、今の時代。

 形だけのロック? ノレればロック? 踊れればロック?

 どれも本当の意味でのロックではない気がするんだよね。

 そういうことも頭に浮かんで、今回は桑田氏の「真夜中のダンディー」を引っ張ってきてみました。


 
 ワタシ、ソロの桑田氏としては、このころの活動が一番、好きなんだよね。上で書いたような、本当の意味でのロックをしてたような気がする。

 シンプルなギターサウンドを中心にして、反社会的な内容の曲を歌う。

 これこそ、ロックの基本形だと思うんだよね。だから、一番好きなんだと思う、このころの桑田氏が。

 この曲もそうだけど、94年のソロアルバム「孤独な太陽」では「すべての唄に懺悔しな」では、自分を含めて、全てのロックアーティストを否定してしまう。

 まあ、そのおかげで、某長渕氏が激怒して、ぐちゃぐちゃな関係になっちゃったんだけどさ。

 でもロックアーティストたるもの、時にはそうじゃなきゃダメだと思うの。

 あくまで、尖りつづける、ツッパリ続ける、社会を否定し、また人から否定され続ける・・・・それがロックアーティストなんじゃないかな・・・って思うんだよね。


 そういう意味でも、この「真夜中のダンディー」っていう曲を聴いた時は、あるいみ刺激的だったな。

 ♪友は政治と酒に溺れて声を枯らし 俺はしがらみ抱いてあこぎな搾取の中に 生まれた事を悔やんだときにゃ 背広の中に金があふれてた〜 ♪

・・・とかさ。乱暴でも反政治的な内容が・・・。


 どうなのかな? 人生のなかで、一度は、こういう、反社会的な立場に自分を置いてみたくなる時期ってあるんですかねぇ?

 桑田氏、この曲をリリースした頃、37歳。

 そう思うと、なんとなく、理解できるんだよね。ワタシもそう言う時期があったと思うしなぁ。
 それって、この曲を書いた時の桑田氏と同じ心境の中にいる「年代」だからなのかもしれない・・・とも思ったりしてさ。

 兎に角、何かあると、それらの意見に「No」を言いたくなる気分の時ってある訳よ。
 何て言うのかな、反抗期とは、また違うんだけと、今まで積み上げてきたモノを全部一度、乱暴にぶっ壊したいって衝動にかられる・・・そういう時期がさぁ。

 でも、その後の桑田氏の生き方、曲傾向を見たら、ワタシもこれから先、社会に対して、どんどん「丸く」なっていくのかな・・・なんて感じたりして。。。


 でもさ、なんか、それって、嫌なんだよね、今現在は。何処かで尖っていたい・・・っていうかさ。


 逆に、桑田氏にも、いつまでも尖っていてほしいんだけどなぁ。最近の曲を聴くと、たしかに00年代の桑田氏やサザンから比べると、社会性的な内容も出てきているけど、この「真夜中のダンディー」の頃のような、乱暴さは見えない。
 
 また、この「真夜中のダンディー」のようなシンプルかつ、反体制、反政治的な曲を歌って欲しいんだけどなぁ。

 社会が暗い影の部分をますます見せるようになってきた今、いろいろネタは転がっていると思うし・・・。
うん、桑田氏に限らないですよ。ロックをやっていると思っている連中は誰でもいいと思うんだよね。

 でも、そこまで「骨」がある連中は少ないんだろうなぁ。。。でてきたら、手放しで褒めちゃいますよ。ほんとに。



蛇足だけど・・・・。「すべての唄に懺悔しな」で激怒してた、長渕氏も、このころ、同じような反社会的な唄、唄ってじゃん。「RUN」

 ♪ 金 金 金と金追いかけてたら、一夜にして幸せがすり抜けた
追いかけてばかり いるうちに 頭も禿げてきた〜 ♪

 とかさ・・・。

 まあ、どちらもお互い様だとは思うんだけどね。。。

 そういう意味でも、1993年の今ごろって、社会に警鐘をならしてた曲が並んでヒットしてたんだよね。



サザン関係は悉く、YOU TUBE から消されてるんだけど、この曲は公式サイトからのアップがあった。
まあ、ショートバージョンなんだけど。。。。



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