1980_06_テクノポリス_イエローマジックオーケストラ







今回の1曲セレクトは、「テクノポリス」イエローマジックオーケストラです。

 まずはデータです。

・タイトル      テクノポリス
・アーティスト    イエローマジックオーケストラ
・作曲        坂本龍一
・編曲        イエローマジックオーケストラ
・リリース日     1979年10月25日
・発売元       アルファ
・オリコン最高位   9位
・売上げ枚数     29.3万枚
・オリコンベストテンランクイン:1980年6月23日〜6月30日付

 シンセサイザーの登場って(個人的に)思っているよりも早くて、向こうでは1960年代の末から使われていたんですよね。
 日本の「ポップス」に使われだしたのが、1970年代の初めごろですか。
 ムーグの「モノフィック」シンセ。つまり「単音」しか出ないやつですな。これがぼちぼち使われだしていたりするんだよね。
 「歌謡曲完全攻略ガイド」からの受け売りになっちゃうけど、例えばキャンディーズの「あなたに夢中」とかね。
 ただ、単音しかでないかんね。メロディラインをなぞるとか、バックで効果音的に使われるに過ぎなかったわけで、本来のシンセの威力を発揮するまでには至っていないんですよね。
(もちろん予算的に高かくついたってのもあるでしょうけど)

 個人的にリアルにシンセサイザーを聴いたのは、やっぱりゴダイゴだとおもうな。「モンキーマジック」ではビュンビュンいわせてしたし、「ベストテン」なんかでは、ひとつ前の「ガンダーラ」で、すでにシンセを使ってましたしね。
 ただ、ゴダイゴにしても、悲しいかな、このころはまだ「モノフィック」だったような気がするな。効果音的な使われ方だったもんね。

 それに対を成して、このころ主流になりつつあったポリフィックシンセ(複数音の表現が可能)を前面に押し出して、完全な「電脳サウンド」に挑戦してきたのが、イエローマジックオーケストラってわけですね。

 いまさら、ここに書くことでもないけど、

(Bass) 細野晴臣
(TOP) 坂本龍一
(Drum) 高橋ユキヒロ

 という、60年代末期のエイプリルフールから続く、細野人脈による「セッション集団」なグループですね。

 このお三方が、ポリフィックシンセを駆使して、「ほぼ」全面的にシンセだけで、いわいる「テクノ」っていうサウンドを確立していくわけだけども、ま、その、魁になったのがこの「テクノポリス」ではなかんべかね。

 もちろん、イエローマジックオーケストラとしては、1978年の段階ですでに「イエローマジックオーケストラ」というアルバムを出しているんで、実際は、それよりは早いんだけど、「テクノ」っちゅうサウンドが、一般にも認識されだしたのが、この「テクノポリス」からっていう意味ですけどね。

 ただ、それでも、流行に敏感な層ではいざ知らず、本当の「一般層」まで認識されるのは、この曲がリリースされて、半年以上もたった頃だったわけで、急激に浸透して言ったわけじゃないんですよね。

 だから、この曲のピークは、1980年、今から35年前の「まさに今ごろ」だったわけですわ。

 これだけ時間がかかったっていうのは、やっぱし、保守的地盤が強い、日本人ならではの特質なんですかねぇ。
 まあ、たしかに、情報手段がいまとは比べ物にならないほど限られていたって言うのもでかいだろうし、例えば、当時のメインメディアだった、「AMラジオ」では、この曲・・・というか、Y.M.Oの面白さが充分伝わらなかったっていうのもあるだろうしね。

 ・・と言うことは、クチコミによって「レコード」が売れるってことが広く認知されるのには必要だったってこともあるでしょうしね。

 ただ、もちろん、伏線もあったわけで・・・。

 例えば前年の夏にヒットした、サーカスの「アメリカンフィーリング」なんてのは、坂本龍一氏がポリフィックシンセを駆使したアレンジを見せてたりするんだよね。
 ま、この曲はそれ以上にストリングスも絡んでくるんで、ぱっと聴き、ちょっと見過ごされちゃうところもあるんだけど。。。

 で、極めつけは1980年3月にリリースされた西城秀樹の「愛の園」でしょ。
 この曲は、どっからきっても、ポリフィックシンセだけでサウンドを織り成している、今から考えると結構斬新な切り口な曲ですよね。とにかくボーカル以外、全てシンセだけでしょ。バックの小鳥のさえずりさえもシンセだったりして。
 この曲は、作曲がスティービーワンダーってことで、有名なんだけど、アレンジは坂本龍一氏なんですよね。

 個人的には、この曲をきっかけにして、イエローマジックオーケストラとしての認知も一気に広がって行ったような感覚があるんですよね。

 でもさ、この「愛の園」のアレンジに比べると、この「テクノポリス」っていう曲は、今、聴くと、まだ、「人間的」な温もりがあるような感じるなぁ。

 まずもって、ユキヒロ氏のドラムは、リズムマシーンのように聴こえるけど、実際は生で叩いてるでしょ。
 ま、このヒトの叩き方がもともとリズムマシーンのような無機的な叩き方だから、生弾きに聴こえないんだけど。

 それと、時折でてくるベースのチョッパーは、これ生弾きですよね? あれ? 違うのかな。 しかし、当時、「チョッパー」もシンセで表現出きたんだろか? 生弾きのような自然さがあるんだけどな。。。

 とにかく、とかく「無機的」といわれる「テクノ」だけど、この曲、・・・というかこの曲の頃のサウンドはまだ、人の温もりが感じられるんだよね。

 もちろん、当時は、それでも、それまで、全く聴いたこともない「無機的」さを感じていたんだけどさ。

 それと、当時、話題になったのは、今聴くと、シロートがパソコン1台あれば充分表現できるような「音」だけど、スタジオいっぱいに機材をならべた上での演奏。。。というのをテレビなんかで、やってましたね。
 同じことは、これから7年後、「ザ・ベストテン」でTM NETWORKがやるんだけども。。。
 
 ともあれ、ここから、今に続く、いい意味「オーバーグラウンド」でのシンセサウンドの水脈が流れて出てきた源と言ってもいいでしょうね。

 そういう意味でも1980年っていうのは、70年代とは、一線を画したようなレポリューション的な年だったんじゃないかなぁ。




ちなみに、この曲、当時、テレ朝で朝早くやってた「みどりの窓口」って、今じゃ知ってる人しか知らないような15分番組のBGMに使われてたの覚えてるヒトいるかなぁ。
 「みどりの窓口」は、文字通り、当時「国鉄」だったころ東京、上野発の特急列車の指定席空席情報を流して番組なんだけど、個人的には、これが好きでね。当然、この番組で、この「テクノポリス」を覚えた記憶があるなぁ。



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