かじやんのヒット曲&チャートレビュー

ヒット曲を聴き続けて40数年! かじやんがお送りする、「今」のヒット曲&ヒットチャートから、「あのころ」のヒット曲&ヒットチャートまで、ヒット曲について幅広くご紹介するブログ。 自主チャートサイト"THE HITCHART NOW AND THEN"の支店ページという位置づけにいたします。

あべ静江

みずいろの手紙 / あべ静江

1973_11_みずいろの手紙



今回の1曲セレクトは、「みずいろの手紙」あべ静江です。

まずはデータでする。

・タイトル   みずいろの手紙
・アーティスト あべ静江
・作詞     阿久悠
・作曲     三木たかし
・編曲     三木たかし
・リリース日  1973年9月25日
・発売元    キャニオン
・オリコン最高位 7位
・売上げ枚数  26.4万枚
・ベストテンランクイン期間:1973年10月22日〜11月5日付

清純。
世の中何かと「がさがさ」している現在では、完全に「死語」になったコトバだよなぁ。
でも、確かに、ワタシが子供の頃には、まだ、こんなコトバが似合う「お姉さん」たちはいた。
今回は、こんな「清純」というコトバそのままの曲を持ってきましょうか。

あべ静江さんの「みずいろの手紙」

この曲の冒頭の

「お元気ですか? そして今でも愛していると、言って下さいますか?」

というセリフからして、清純を思わせるよなぁ。

「〜言って下さいますか」 なんてのは、今じゃ、とんと聞かなくなった言い回しなんじゃないですかねぇ。

いや、超富裕層では、まだこういう言い回しもしているのかもしれない。

でも、ワタシみたいなごく平凡な「庶民」の世界では、まず聞かなくなりましたよね。

それじゃ、この曲の世界も「超富裕層」の世界なのか・・といえば、そうじゃない。
1970年代は、まだこういう純粋なお姉さんたちは庶民の中にもいたんだよね。

少なくとも、ワタシの周りにはいたような記憶があるなぁ。

モーレツからビューティフルヘ という文化の変革期の時代。庶民の暮らしもあの当時から見ての一昔前よりは確実に豊かになった時代の流れの中で、1億総中流層時代と言われたのがこの頃ですよね。

生活が豊かになれば、言葉の様式も変わってくる。 1970年代ってそんな時代だったような気もするな。

あ、もちろん、あの頃も「がらっぱち」なお姉さんも多かったですけどね

むしろ、ワタシの周りには、そちらのお姉さんの方が・・・やっぱ多かったかなぁ。。。


そんな清純そのものなセリフに続いて、リバーブをいっぱいに利かせたAメロ。

今では、こういう効果の曲は、まず見かけなくなった。 これも1970年代前半という時代特有な効果ですよね。

どうなんだろ? こういうリバーブをいっぱいに利かせた曲想っていうのは、「清純」を連想させる曲の特徴だったんでしょうかね。

例えば、この曲の前年の麻丘めぐみさんの「めばえ」なんてのも、めちゃくちゃリバーブがかかってましたよね。今聴くと、ほとんどお風呂の中で聴いているんじゃないかという感覚になってしまうくらい。

故筒美京平氏は、こういうリバーブをいっぱいに利かせた曲は。色彩イメージとして「淡いみずいろ」とおっしゃっていたようだけども、まさにそんな水の中を漂っているような感覚なんですよね。

今回の曲タイトル 「みずいろの手紙」 なんて、そんなイメージそのものですわ。

そこからなぜ、清純を感じるのか?・・・・「みずいろ」っていう色彩のイメージからして清らか⇒清純 っていうイメージを思い起こさせるからなんでしょうね、きっと。


最近は、時代からして極彩色、いや、はっきりとしたカラーな世の中だと思うし、まず、こういう「淡色系」なカラーの曲に出会うことは少ない。

つまりさ、ヒット曲にしても多くの人々は、色味がはっきりとした曲を求めているんだろうな・・ってのがわかりますね。

例えば、まさに今だったら、Adoの「唱」だったり、YOASOBIの「アイドル」だったり、今のヒット曲って、みんな色彩イメージがはっきりしてるじゃない? Adoの「唱」にいたっては極彩色の極みのような印象が強いし。。。
手書きではなく、PC上で機械的に作った曲の特徴といえば、そうなんだけども必然的にはっきりとした色彩になってしまう。淡い単色系の曲は機械的に苦手なところではないか・・とも思えてしまう。

いや、出来るんだけども、スカスカな音の曲になってしまい、「今の時代」には合わない・・っていうのもあるんですかね?

でも、昔・・少なくとも70年代前半って、そういう、はっきりとした色味を求めてはいない時代だったんでしょうね。

・・・だったんでしょうね? って無責任な・・ってところだけども、ワタシゃ、この時4歳。
まだまだ物心がつかない頃だったわけで、あくまで私の記憶の中での印象では・・・ってことで、あいまいに書いちゃったんだけども。。。

・・・ってか、↑で「1970年代は、まだこういう純粋なお姉さんたちは庶民の中にもいましたよね。」とか、すでに物心ついていたかのように書いてんじゃん。。。

いやー、物心はついてなかったけども、意外と人間観察はしてたような気がするんだよね。
そう、そんな嫌なガキだったのよ、ワタシゃ。


たださ、今、昭和歌謡に回帰する人が、若者を含め増えてきているのは、実はこういう「淡色系」の曲を求めている人たちなんじゃないのかな? 極彩色な曲には疲れているという人たち。

これは、実際の世の中にしてもそうで、昭和時代に回帰しているのは、今の世の中疲れている・・という中で昭和という「淡色系」(⇒平和に見える)な時代に癒しを求めている人が増えているんなんじゃないのかな?  なんて思えたりしてね。

もっとも、昭和という時代も、ずっと淡色系な時代ではなかったですし、リフルタイムで感じた実際の世の中は今よりももっと激動だったんですけど。。。
ただ、表面的に70年代前半から中盤くらいって、不思議なことに、淡い色の時代⇒一番平和な時代 のように見えるんだよね。今の時代から振り返ると。


なんか、当初の「清純」ってところから、大分変な方向に行ってしまったけども、ワタシの中では、清純というコトバで、真っ先に浮かぶのは、この曲だったりするんですよね。





↑で、この曲は「清純」だと言い切るほど、個人的にはあべ静江さんにはぴったりな曲だと思ったんだけど、wikipediaiによると当のあべ静江さんは、

「男性に媚びたような、私が嫌いなタイプの女性の思いを綴った詞だと思ってしまって・・・」

と、当時、とにかくこの曲がキライだったようで、歌うのを封印した時期もあったとのこと。

今、当時のVTRを見ても、この曲のレコード音源を聴いても、そういうところは感じなかったんですけどね。

当の本人は、男に媚びる、80年代風に言えば言えば、ぶりっ子、カマトトぶるタイプではなかったようですね。

でも、この曲が生まれた、1973年ころと言ったら、まだまだ女性は男に尽くすものであり、当時のヒット曲も男性にとって都合がいいような解釈の曲がまだまだ多かった時代。

それは、演歌の世界を見れば一目瞭然なわけでさ。ポップスといえども歌謡曲路線寄りのこの曲なんかにも、まだ、そういう匂いが残されていたわけですね。

ウーマンリブが叫ばれ、女性解放運動が日本で本格的になったのはこの2年後。1975年になってからですわ。



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コーヒーショップで / あべ静江

  1973_09_コーヒーショップで_あべ静江


今回の1曲セレクトは、「コーヒーショップで」あべ静江さんです。

まずはデータです。

・タイトル     コーヒーショップで
・アーティスト  あべ静江
・作詞       阿久悠
・作曲      三木たかし
・編曲      馬飼野俊一
・リリース日   1973年5月25日
・発売元     キャニオン
・オリコン最高位 9位
・売上げ枚数 28.0万枚
・ベストテンランクイン期間:1973年9月10日付


 今でこそCDデビューの「形態」って千差万別ですよねぇ。 ま、ほとんどの方は最初から「歌い手」を目指してその末にCDデビューって形だけど、最近だったら「声優」からCDデビューっていうヒトも多いし、お笑い芸人からCDデビューって言う人も多い。
そんな感じで、CDをリリースしているヒトでも、必ずしも「歌い手」を目指していた訳じゃなかった・・ってヒトも珍しくなくなったって訳ですな。

今回の1曲セレクトは、そんなもともとは「別の職業」からレコードデヒューした方のあの曲を一つ。

あべ静江「コーヒーショップで」。

うーん、あべ静江さんといっても、少なくともワタシの年代より下の方は、あんまりピンと来ない方が多いのかなぁ。
昔、エバラの「浅漬けの素」のCMをやってたヒト・・・とかさ そのくらいの認知しかないかもしれない。

でも、今の50代、60代の方にとってはアイドルでしたよね・・・とか言いきってみる

なんて「あいまい」に書いちゃったのは、ワタシにとっても「浅漬けの素」のCMのヒトって側の世代だからなんですけど・・・。 そそそ、70年代前半の「アイドル」時代はリアルタイムじゃなかったからさあ、実際にどの位人気があったのか・・・ってのは肌で感じてなかったからなぁ。

で、初めの主旨である「別の職業」からレコードデビューって事なんだけど、元々、あべ静江さんってラジオの女子アナだったんですよね。

ま、当時の事をご存じの方には有名だと思うけど、元々はFM愛知でDJをやられてた訳ですわ。
DJっっても、クラブでお皿回す訳ぢゃないですよ。ラジオの「ディスクジョッキー」ね。ま、最近で言えばラジオのパーソナリティですね。

当時これらの番組を聴いてた方にとっては、「当たり前」の事なんでしょうけど、個人的には初めはなんか信じられなかったなぁ。やっぱり、「浅漬けの素」のCMのイメージが強いもので。。。

でもね・・・。今手元に1973年1月号の月刊・明星の歌本「Young Song」がある。この号の巻末特集として、「全国DJガイド」っていう、この当時の全国ラジオ局のプライムタイム〜深夜放送の番組タイトルとパーソナリティの表が載ってたりする。

このFM愛知に載ってますねぇ、「あべしずえ」さん月曜〜土曜0:00 〜0:15 YOU AND ME TOSHIBA パーソナリティって紹介が・・・。

東海地区「かわいこちゃんNO.1 DJ」(うわっ、時代だわぁ。この表現) なんて紹介されてたり。。。

・・・となるとやっぱり、正真正銘だったんですねぇ・・・。

蛇足だけど・・・このリストを見てて今も放送しているFM東京の「ジェットストリーム」って73年のこの時代から深夜枠であったんだよなぁ・・・。長い番組だよなぁ・・・。 なんて先日放送開始から50周年っちゅうことで、当時からあったことは当然なんだけど、やっぱ活字で見ちゃうと歴史を感じるよな・・・。

・・・蛇足でした。。。

でね、さすがに当時としてはラジオの女子アナからレコードデビューっていうのは異色の経歴だったんじゃないかなぁ。 いや、今も異色かもしれない。 まあ、フジテレビとか日テレの女子アナがCDだしたりしたこともあったけどさ。

ま、あべ静江さんの場合は、当時、まだ「短大生」ということもあり、「局アナ」ではなかった訳ですけど。。。

80年代初頭に文化放送で、ミスDJって事で、女子大生がパーソナリティをしていた番組があったけどさ、そう言う意味ではその魁だった訳なんですよね。



あーーー、長い前振りになっちまった。。。曲について書いてなかったなぁ。

とりあえず、いろんなメディアで言われてるし、当時「かわいこちゃんDJ」ってことでデビューしたわけなんで、当時の扱いとしても「アイドル」だったと思えるんで、ここでもアイドルとして紹介したいんですが。。

でも、実際曲を聴いてみると、アイドル曲っていうイメージではないですよね。なんて言うのかなぁ、アイドルの曲って言うと、もっと「ポップ」なもんじゃん。 でも、この曲は落ち着いてるしさ。より歌謡曲なんだよね。

ま、そもそもが作曲の三木たかし氏が、より歌謡曲路線のヒトだったりしたし、なによりあべ静江さん、当時22歳だったからなぁ。当時のまわりの70年代アイドルのヒトたちと比べると、絶対的に年上でしたからねぇ。  

今は22才でアイドルやってるヒトも、全く珍しくなかった訳だけど、当時は20歳を過ぎると「大人のオンナ」でしたからねぇ。アイドルというよりは一人の「ナオン」って言うイメージなんだよね。

詞のイメージも「大人」をイメージしてるな。 そもそも「コーヒーショップ」っていう喫茶店を題材にしてるところって、前年に大ヒットしたガロの「学生街の喫茶店」ですよねぇ。

 まあ、この曲の場合は、「学生街」っていうより具体的な部分は無く、単に「コーヒーショップ」っていう大衆性にとどめているところが、より歌謡曲的と言う部分が強いんだけども。 でも、他の方のブログを見たりすると、作詞の阿久悠氏は、明治大学出身であり、「学生街の喫茶店」もお茶の水っていう明治大学周辺をモチーフにしていることは間違いないことから、この曲に触発され明大周辺の喫茶店イメージしていることは間違いないようなんだよね。

いずれにしても、この時代で喫茶店っていうのは、やっぱある種文化の発信基地だったんだろうなぁ・・・っていうのが分かるなぁ。ま、リアルタイムじゃないんで、なんとなくなんだけど。。

いや、でも、なんとなくは分かるんだよね。リアルタイムじゃなかったけど、コーヒーの香りが染み付いているような喫茶店って言うイメージから、浮かぶ風景って、個人的にもこの時代だからさあ。



ところで、あべ静江さんって言えば、この動画のような変わったマイクの持ち方がトレードマークになっていたみたいだけど、本人いわく、マイクにすがって歌っていたってことで、マイクにすがったいたら、こういう一見変わったマイクの持ち方になったようですね。

ちなみに、当時の愛称は「しーちゃん」でしたね。そーいえば、小学校の時の同級生にも「静江」って名前の子がいて、そのコも「しーちゃん」って呼ばれてたな。

最初「しーちゃん」ってのがあべ静江さんの愛称って分かんなくて、小学校のときの同級生の事だと思ってたもの。。。


では、改めて曲を



イントロ頭のドラムのフィルイン。如何にもアレンジが馬飼野俊一氏って感じだよなぁ。
ややチューニングが外れたような音のタムのフィルがさ。
これ聴くと如何にも70年代だなぁ・・・なんて思ったりしてね。チェリッシュの「てんとう虫のサンバ」でも同じように思ったりして。。



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