やっぱいいですね、NHKBS「名盤ドキュメント」。
2019年のY.M.O「ソリット・カテイト・サバイバー」以来6年ぶり復活。

キャンディーズの「年下の男の子」。
アイドル路線としては、太田裕美「心が風邪をひいた日」以来ということになるか
10月の本放送も録画しながら見たけども、昨日の再放送もまた見ちゃいましたわ。






バラエティ目線ではなく、音楽的にちゃんと分析してくれるところがいいんだよね。

今回は、レコーディングディレクター 松崎澄夫氏、 キャンディーズチーフマネージャーだった、篠崎重氏、 キャンディーズの主だった楽曲でギターをプレイしていた水谷公生氏が、スタジオに集結。

主に、現ハワイ在住の作曲家・穂口雄右 の作曲エピソードを聴きながら番組が進行。

それにしても、「年下の男の子」、下敷きはレイチャールズの「Hallelujah I Love Her So」だという曲だったのか。。。 これは初めて知ったわ。




確かに聴き比べると、そっくりですわ。
番組でも分析していたように、ジャズっぽい要素は感じていたけどもブルーノートスケールを取り入れた・・云々というのは、作った穂口氏本人から言われてみなきゃわかんないですしね

・・・と同時に作曲の穂口氏が作ったキャンディーズの一連の曲は、きちんとした音楽的な裏付けがあったうえで作られていることが分かりましたね。やっぱり音楽的にキチンとしてたんですね、キャンディーズって。

今回の番組でも言及されていましたが、やっぱり、松崎澄夫(V)、水谷公生(G)、穂口雄右(Key) という 元G.Sのアウトキャストのメンバーが音楽的なブレーンだったのが大きかったですね。




少し前、いつだったか、今「アウトキャスト」に興味がある・・云々・・とFacebookに書いたことがあったんだけども、やっぱり、「ゲーノー」的なG.Sとは違ったようですね。

なお、前にも書いたように同じくアウトキャストのメンバーだった藤田浩一(G)は、のちに「トライアングル」というプロダクションを立ち上げ、杉山清貴&オメガトライブ、菊池桃子などを輩出する。。。
・・・と、やっぱ、音楽的に優れたものを持ってたんだよねアウトキャストって。

今回の番組を見て、やっぱり、少し漁りたくなりましたわ。(・・・っつか、少し前にTSUTAYAでG.S版「青盤・赤盤」というCDを借りて、何曲かアウトキャストの曲もリッピングしたんだけども。。。)

穂口雄右氏、少し前にJASRACの管理体制に反旗を示して、自ら作曲したキャンディーズの一連の曲の著作権は「自主管理にする」・・・とJASRACへの信託管理を切り上げたりして、めんどくせえ人だな・・・っていう印象もあったんだけども、今回の番組を見る限り気さくな方ですね。
なるほど黒澤進氏著「60年代ロックのすべて」での穂口雄右氏へのインタビューの通りの方で、ほっとしましたわ。

ただ、やはり音楽に対する情熱は凄いな・・と。 いや、穂口氏だけでなく、松崎氏、水谷氏も含め、キャンディーズプロジェクトに関わった方々の音楽に対する情熱がすごい。

ワタシねぇ、以前から、ピンク・レディーよりキャンディーズ派だったのよ・・・言い続けてきたけども、キャンディーズの方が好きだったワケが、よくわかりましたわ。
ワタシゃ、いかにアイドルと言っても、「踊れる」っていうビジュアルよりも、やっぱり音楽的な方がヒトたちのほうが好きだったのよ。 音楽的にきちんとした裏付けがないどダメなのよ。子供の頃から。。

今VTRを見ると、スーちゃんの大根足は、今のアイドルにはいないよなぁ・・・なんて思えるけども、逆に言えば、キャンディーズ程、コーラスが取れるアイドルもいないよなあ。

あ、そうそう、今VTRを見てて、気が付いたのは、The Three Degrees。
キャンディーズのコーラスの響きって「The Three Degrees」っぽいんだよね。それがあの時代〜70年代〜っていう空気にはマッチしていたんだと思う。

70年代中盤、個人的には幼稚園〜小学校入学のころで、まだまだ物心がついていない頃だったけども、The Three Degreesって好きだった(みたい)。

大人になって改めて「天使のささやき」を聴いたときは、めちゃくちゃ懐かしい気分になった。
恐らく、ヒット当時も物心がついていないなりに、どこかで聴いてたんだと思うな。

まあ、父親があの手の「洋物」音楽が好きで、いつもカーステから流れていたから。
子供の耳は敏感ですからね。似たような響きには敏感に反応したんだろうね。

恐らく、個人的にキャンディーズが好きになったのは、そういうところからだと思う。
「ベストテン」を見て能動的にヒット曲を聴くようになるよりも前の話だからね。


70年代以降、今に至るまであまたなアイドルが登場してきましたが、今に至るまでビジュアル最優先っていう傾向は変わらない。
たしかに「歌える」アイドルは増えては来ている。それでも、「音楽的に素敵」なアイドルは、まだまだ少ないのも事実なわけで。

そのあたりが、個人的にアイドルには、今一つ触手が伸びないところなんだろうな・・と
ってことが確信できたってことで、収穫がある番組でした。

ちなみに、ワタシゃ スーちゃん派でした。。。





それにしても 「春一番」のイントロのギターフレーズは、ペンタトニックス。ただし、ジャズのそれではなく美空ひばりの「りんご追分」と言いきる マーティ・フリードマンの分析力はさすがですね。

実際にギタープレイしていた水谷公生氏も、「自分の音楽のルーツは、三橋美智也の「リンゴ村から」。もしかしたら、それがここに出てきているかもしれない」と納得されていましたね〜。
ちなみにあのフレーズは、作曲、アレンジの穂口氏の書き譜による指定ではなく、アドリブだったとのことで、↑の水谷氏の証言になるんですが。。。

そんじゃ、完全に和風な「歌謡曲」なのかといえば、下の方でクラビネットが鳴っていたりして節操がない。 その辺が、アメリカ人であるマーティ・フリードマンには、「なんじゃこりゃ!?」と痺れるところのようですね