1978_11_巡恋歌_長渕剛


今回の1曲セレクトは、「巡恋歌」長渕剛です。

まずはデータでする。

・タイトル    巡恋歌
・アーティスト  長渕剛
・作詞      長渕剛
・作曲      長渕剛
・編曲      鈴木茂
・リリース日   1978年10月5日
・発売元     東芝EMI
・オリコン最高位 100位以内ランクインせず
・売り上枚数   −枚

えー、今回はマクラなしで直接行きますか。
久々に、「変則」曲と行きますか。変則曲っていうのもちょっとおかしいけど、後年大ヒットした曲の中で、オリジナルは全くかすりもしなかった・・って曲ですね。

長渕剛 「巡恋歌」 

どうもね、「筋肉マッチョマン」になったしまった後の長渕の印象が強いだけに、ヒトによって好ききらいが激しいアーティストでしょ、長渕って。

だから・・・って言うこともありーの、ここでもあんまり書いて来なかったアーティストの一人かもしれない。

でもね、個人的には、キライじゃないんだよなぁ、長渕って。
昔、某着メロサイトで配信曲のセレクターやってるとき、ゴーインに当時のニューアルバムの全曲特集なんてやっちゃったくらいなんで。。。
まあ、プロデューサーっていう権限で半ばゴーインにやっちゃった・・・ってのもあるけど。。。
(でもそこそこのダウンロード数を稼げて、一応面目躍如だったんだよな。。。)

・・・・ってくらいだからさ。

とは言っても、個人的にも、まだ「筋肉マッチョマン」や「ヤクザ」になる前、「やさ男」だったころの長渕が好きだったんだけどね。

今回、持ってきた「巡恋歌」はデビュー曲。 まだ、もろ「やさ男」だったころの曲ですわ。

うん、そもそも↑の「ジャケ写」の写真からして、今の長渕しか知らない方には「別人」にしか思えないかもしれないもんな。
 もしかしたら、誰かの「カバーか?」なんて思われるかもしれないけど、正真正銘、今から39年前の長渕本人なのよ。

線が細くてナイーヴで、それでいて、当時から少しひねくれていて・・というか、ヒトを信用していないようなところがありましたよね。

それでも、当時の長渕が好きだったんだよな。 なぜって言われると困るけど、古いようでなんか新しい匂いがしたっていうかね。

この「巡恋歌」。 初めて聴いたのも恐らくは、リリースされてそんなに月日が経っていない頃だと思う。
うん、いつ、どこで聴いたかっていうのは、全く覚えていないんだけど、少なくとも80年代の最初の頃だったと思う。
「順子」で大ブレイクしたのと同じくらいの頃かなぁ。 「乾杯」(と言っても80年にリリースされた「オリジナル」の方ね)と同時に聴いたのかなぁ。

どっちもね、いい曲や〜・・・って思ったのだけは覚えてるんだよな。

なんちゅうのかねぇ、簡単に言えばキャッチーの一言なんだけど、でも体に染みてくるんだよな。

ほら、ウイスキーをチビチビ飲ってるとき、体に染みてくる感じっていうかなぁ・・・。いい意味でトリハダが立つっていうか震えが来るんだよね。 

まあ、吉田拓郎氏に憧れ、拓郎フォロワーだっただけに楽曲の形式も拓郎氏そのものだし、曲自体はそれまでいくらでもあったフォークにちょいと音を厚くしたような、いわいるフォークロックやつで。
音的には全く目新しいところは無いんだけども、でも耳に入って来ると新鮮。

これが印象的だったんだよな、デビューの頃の長渕って。

まあ、デビュー曲といっても、「2回目」のデビューなんだけどね。

・・・って書くと、「なんじゃらほい?」って感じなんだけど。。。 

うん、知ってるヒトは知ってる事だけど、実際、長渕って、この曲の前に、一度、ビクターからデビューしているんだよね。 そそそ「雨の嵐山」って曲で、アーティスト名も「長渕剛(ごう)」っちゅう、本来の読みとはも少し変えられて・・・。

本人としては、アーティストとして地道にライブハウス周りをしたかったようだけど、実際は本人の思惑とは全く違い、事務所としては「芸能人」として売り出したかったらしく、デパート屋上でのキャンペーン周りの日々。

しかも、これが全く売れなかった訳で。。。。 挫折。

そんな日々に嫌気がさして、博多に戻ってしまう。 

でも1年後、「再起」をかけ、再度、1978年第15回ヤマハ「ポプコン」に応募し、本選入賞したのが、この「巡恋歌」。

そのときの画像が ↓ コレ




今聴くと、めちゃくちゃシンプル。だけど、ギターの弾き方は、後年と変わんないんだよな。当時から長渕スタイル。

それにしても甘いんだよね、声が。当時から言えば、引っかかったのはここなのかもしれないし、拓郎フォロワーを自認してたけど、一番違ったのもそこかもしれない。

そして、今と一番変わってのも、体型だけじゃなく、そこかもしれないな。

今聴くと、ホントいい曲だと思うけど・・・・でも、それでも売れなかった。 

オリコンでは100位にも入らなかった。 今でこそオリコンは101位以下も売り上げ枚数をだしているけど、昔は101位以下は売り上げを公表していなかったわけで。。。
だから、この曲の売り上げは、オリコン的に言えば「0枚」と言う訳なんだよな。

やっぱり時代と折り合いがつかなかったんだろうな。 たしかに時代はニューミュージック全盛の時代にはなっていた。
でも、時代が求めていたのは、新しい形の音楽。 

一時代の前のスタイルの長渕は、見た目上、アナクロな存在だったんだろうな。


ところで、2度目のデビューなんて今では、ほとんど聞かないけど、昔は結構いたんだよね。 再起をかけた再デビュー、再再デビューなんてさ。

五木ひろし氏なんて有名だし、フォーク・ニューミュージック系では「アルフィー」も再デビュー組として有名だよね。

その後「大御所」となって、未だに現役を続けて来ているアーティストには、こんな風に「苦節何年」なんて浪花節ぢやないけど、苦労してきているヒトたちは多い。

そして、長渕も、そんな挫折を経験したなかで、アーティストとして大きくなってきたんだよね。

でも、そんな苦節を味わってきた中での経験からなのか、「愚痴」っぽい歌詞の曲も、この頃は多かったんだよな。

まあ、この「巡恋歌」からして、愚痴っぽい曲ではあるんだけどさ。

2番の歌詞にある 

♪タバコを吸うなとか 酒を飲みなとか ワタシの勝手じゃないの〜 ♪ とかさ。

これ捉え方によっては、再デビュー前に味わった、自分の思惑とは違い、事務所に言われるがままの「営業」の日々に対する愚痴にも聴こえたりするんだよね。

いや、この曲だけに限らず、他にもあるんだよな。

例えば、80年のアルバム「乾杯」に収録されている 「暗闇の中の言葉」なんかはまさに、そんな苦い時代を吐露しているような曲だしね。

でも、そんな苦い時代を糧に長渕はビッグになって行く。 

この「巡恋歌」は、その出発点になった曲なんだよね。



つづく



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