今回の1曲セレクトは、「S.O.S」ピンクレディーです。
まずはデータです。
・タイトル S.O.S
・アーティスト ピンクレディー
・作詞 阿久悠
・作曲 都倉俊一
・編曲 都倉俊一
・リリース日 1976年11月25日
・発売元 ビクター
・オリコン最高位 1位
・売上げ枚数 65.4万枚
・THE HITCHART HOT30最高位 1位
・ベストテンランクイン期間:1977年1月17日〜3月28日付
ネットニュースを見てたら、「「放送禁止用語」の厳しすぎる自主規制」なんてのがあった。
http://www.oricon.co.jp/news/2066437/full/
最近は、ほんの些細なことで放送自粛、あるいは放送禁止に陥る番組、あるいは音楽の類が増えてきている。言論、表現の自由はどこに? と憂れいている記事ですわ。
もちろんそこには、放送禁止曲も含まれているわけで。。。
一時期、「放送禁止」曲は無いに等しくなった時期があった。 大昔は、民放連が発足させた「要注意歌謡曲指定制度」なるいわいるブラックリストが存在してしており、このリストに載った曲は、放送できない、あるいは放送自粛・・といういわいる「放送禁止」曲だったんだよね。
リストに載せる基準としては、表向きは、体制批判、被差別部落、天皇批判、風紀凌辱・などなど、まあ、「ニッポン国民」として清く正しく生きている、清廉潔白なお方たちから、すぐクレームが来そうな内容が含まれている曲・・・と言う事ではあったんだけどね。
たしか、その基準が1983年に改正になり、だから、それ以後リリースされた曲で「放送禁止」になった曲はないはずだし、以前、「放送禁止」扱いになっていた曲でも、1983年以降、現在でも放送しても、特におとがめは無い筈なんだけどね。
例えば、最近は、紅白でも堂々と歌われ、それこそ時の曲となった、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」も、昔は放送禁止扱いだったわけだから。。。40年前のNHK会長が昨今の紅白を見たらひっくり返るだろうね。
歌詞に出てくる「土方」っていうコトバや、タイトルにもなっているヨイトマケが差別用語、あるいは部落差別に当たるってことで放送禁止ですよ。
昔はさ、それこそ、放送禁止、発売禁止の嵐ですよ。なにせ、「放送禁止曲」なんて、本もあるくらいだからさ。
詳しくはさ、この本に詳細な事情は載ってるから、興味がある方は読んでみてくだされ。
でも、そんなブラックリストが存在しているっていうのは、当時のアーティストだったら誰でも知っていたことだし、それでも、「放送禁止」曲を量産していたアーティストが存在していたわけだから、昔はもっと体制に対して大らかだったんだよね。いつからだろうね、こんな些細なことにギスギスした空気が流れるようになったのは。。。。
だから、最近の曲は、当たり障りのない内容の曲しか出てこないんですよね。
で、もって、今回の1曲セレクトは、ピンクレディーの「S.O.S」。
え? 放送禁止曲とピンクレディーの「S.O.S」ってどんな関係があるの? 一見、放送禁止曲とは、全く関係なさそうな曲なんですけどねぇ・・・。なんて言われちゃいますかねぇ。
・・・・つか、当時 頻繁にかかってましたよ。今でも、地方局にいけば、たまにかかるんぢゃないですか。
そんぢゃ、放送禁止ぢゃないじゃん・・・・。
・・・ってことなんだけど、これがですねぇ、オリジナルに入ってる、イントロ最初の「モールス信号」音の部分「のみ」が放送禁止なんですねぇ。
まあ、ちょっと歌謡曲に詳しい方だったら、これは、「常識、常識」ってレベルかな?
うん、たしかに、レコードは、イントロは、モールス信号音で始まるんですよ。
でも、放送局用に配布した、サンプル盤は、このモールス信号音を抜いたバージョンなの。
だから、有線放送やラジオでは、このモールス信号の部分はかからない。
まあ、本物のモールス信号と紛らわしい・・・ってことで「放送禁止」なんだよね。
でも、これは、作り手側が「わざと」モールス信号を入れたんだよね。
モールス信号音を入れれば、そこは「放送禁止」になるだろう・・・ってのは、前々から分っていたの。
だから、それを売り出す戦略にしよう・・・っていう逆転の発想からなんだよね。
この曲はピンクレディーの第2弾シングルなんだけど、この曲をリリースする段階・・・というか、制作する段階では、まだ、ピンクレディーってマイナーな存在だったんですよ。
そそそ、デビュー曲の「ペッパー警部」もベスト100の下のほうでくすぶっている状況で・・・。
だから、第2弾を制作する段階では、何か、話題づくりが必要だったんだよね。ま、そういうこともあって、ワザと放送禁止にするように仕組んだ・・・って訳ですわ。
(ちなみに、今は規制は無し・・・というか、当時も「問題なし」だったらしいんだけど、レコード会社側が自主的に放送禁止にしたらしい)
でも、それも、杞憂だったんだよね。なぜならさ、この曲は1976年11月25日リリースなんだけど、その頃になって、急にフィーバーし始めたわけなんですわ、ピンクレディーが。。。
まさに「ブレイクスルー」な時期が、このころ。
だから、こんな工作も、結果的には全くの無駄足だったの。。。
でも、モールス信号音を入れたことで、「S.O.S」っていうタイトルがそれらしくなったのは確かだよね。
何分、曲自体は、デビュー曲の「ペッパー警部」に比べたら、全然大人しかったからねぇ。
・・・・というか、「ペッパー警部」がハイパー過ぎたんだよね、当時としては。
だから、当時のアイドルのレベルに落ち着いた・・・って言えるのが、「S.O.S」なんじゃないかなぁ。
で、まあ、この曲を挟んで、次の「カルメン'77」から怒涛のピンクレディー旋風が始まるわけなんだけどさ。
その間の、つかの間の「息抜き」だったのが、この曲なんぢゃないかな?
あ、個人的には、当時は、この曲のほうが「ペッパー警部」より好きだったんだ。なんか、等身大っぽかったじゃん。アニメの主題歌っぽいというか・・・。子供向けというか。
「ペッパー警部」が当時7歳のコドモだったワタシにとっちゃ、オトナっぽ過ぎたんだよね。。。
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