毎度毎度の事で、大変申し訳ないのですが。。。
2017年も明けて、20日も経ったっていうのに、重ーい腰を上げてようやっと、昨年「2016年」年間チャートの概要を書きましたので上げます。

なお、コレに書く年間チャートについては、僭越ながらワタクシが毎週独自に集計しています、「THE HITCHART HOT30」(http://www.kajiyan-net.jp)の2016年1月7日〜12月29日付ランキングに基づきます。


上記の間、チャートにランクインした全曲数は1377曲。 これは、前年2015年の1488曲から100曲以上少なくなっています。
 これは、相対的に見て1曲あたりのトータルポイントは伸びていると言う事を示しています。
現に、今年は年間1位のSMAP「世界に一つだけの花」が、2013年のAKB48「恋するフォーチュンクッキー」以来3年ぶりで、年間トータル得点が10万点をオーバーしました。
 その他上位4位まで9万点オーバーという、近年では稀に見るような高得点でのランキング決着となっています。これは、2008年の年間ランキング以来 7年ぶりの水準です。

一時は、1曲に人気が集中する本来の意味での「ヒット曲」の時代は終わってしまった、これからは知ってるヒトだけ、その曲を支持する・・という「ニッチ」の時代となる・・・と言われたものですが、この傾向を見る限りでは、再び、1曲に浮動票が集まるような「本来」のヒット曲の姿が戻ってきたように思えます。

とは言っても、完全に昔のような浮動票が1曲に集まるような本来のヒット曲の姿の傾向に戻ってきたのか・・・といえば、まだそこまでは言えないんですよね。
 年間チャート上位では、トータルポイントが軒並み、前年を上回っては来ているものの、切り番ランクである、50位、100位の得点水準を昨年、一昨年と比べてみるとほとんど変わっていないんだよな。

これを見る限り、年間チャートの最上位曲では浮動票が集まるような本来の意味での「ヒット」の姿に戻りつつあるものの、大多数の曲では、「固定ファン」のみ支持されている・・・という、ここ数年のチャート傾向がまだまだ続いていると言えるでしょうね。

ただ、昨年に引き続き最上位の曲では、ヒット傾向に変化が見られて来ていることは間違いないですし、これら、本来の姿のヒット曲が、どこまで広がって行くのか・・・・これが今年のヒット曲界の課題になるんではないですかねぇ。


さて、上で書いたように2016年の年間1位は、SMAP「世界に一つだけの花」。
 まあ、この曲については既に「国民的」なヒット曲の域に達しているんで今更、内容を言及しなくてもいいのですが。。。
 2003年リリースの曲であり、ワタシのチャートでもリリース年の2003年に一度、年間1位となっています。なので、リリースから13年越しで、2度目の年間1位を獲得・・・って事になりますね。
 このように、1度年間で1位を獲得した曲が、またまた年間1位となる事は、これまで41年のチャートを集計してきて史上初の快挙。 しかも、リリースから13年経ってからの年間1位というのも初の出来事です。
 それだけ、昨年のSMAP解散フィーバーは凄かったと言う事を物語っているでしょうね。 別途1曲セレクトで、先日キャンディーズを書いた時にも言及したんだけども、このような解散フィーバーは、77年〜78年に起こったキャンディーズ解散フィーバーにも類似した出来事。
 コア固定ファンだけに留まらず、ライトなファンも巻き込んだ(と見える)この解散フィーバーというのが、特徴でしたね。  これは、前出のキャンディーズ解散の時とも同じような現象ではあったんだけども、ただキャンディーズの時よりも規模が大きいように感じますね。
実際的な売り上げというよりも、その期間ですね。 キャンディーズの時は、解散宣言をした77年夏から、翌4月に解散するまでの、約9カ月の出来事。
 けど、今回のSMAPの場合は、昨年1年間、同じようなフィーバー状態が続いたような印象があるな。
それだけ、日本中がSMAPの解散フィーバーの渦中にあったという1年だったと言えるんじゃないかなぁ。

下図Fig.1に昨年2016年1年間の「世界に一つだけの花」の総合ランキング推移を上げてみました。

1-世界に一つだけの花_総合ランク推移


これを見ると、昨年1月28日付で、ランク上に再登場して以来、週により上下動が激しいチャートアクションを繰り返しながら、ほぼ1年にわたりチャートインし続けています。
その中でも、SMAP騒動が勃発した、昨年1月末〜2月にかけてと、解散が決定した夏以降のチャートアクションが活発であった事は一目瞭然ですわね。

特徴的なのは、ランキングを牽引している要素が、「CDセールスチャート」であると言う事。
年間を通してCDセールスの流れに追随して、ネット配信、有線、ラジオの各要素のランキングが動いてきたランク傾向でしたね。

下図Fig.2に、「世界に一つだけの花」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

2-世界に一つだけの花_各要素推移


いわいる「販売系」チャートでは、CDセールスチャートよりも、ネット配信系チャートで総合的なランキングを牽引すると言う傾向が、ここ数年の主流になってきているところを見れば、総合ランキングの牽引要素が「CDセールス」であった事は、かなり異例な傾向。
 まあ、元々ネット配信には力を入れていないジャニーズなので、販売系ではCDセールスに頼らざるを得ない訳なんだけども。。
いわんやSMAPのコアなファン層の多くは、ネット配信よりもCDという年齢だろう。だから、CDセールスが主軸になるのも当然ではあるところなんだけども、それを差し引いても、この「世界に一つだけの花」の昨年1年のCDセールスの動きは、近年のヒットチャートでも異例でしたね。
 

年間2位はRADWIMPS「前前前世」。
この曲、2016年上半期ランキングではまだリリース前と言う事でランクインしていなかった訳で、下半期だけでここまでヒットした曲と言う訳ですね。
 
 まあ、この曲はなんと言っても映画「君の名は」の主題歌ということで、映画の大ヒットとリンクしてココまでのヒットとなった訳だけど。

下図Fig.3に「前前前世」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

3-前前前世_各要素ランク推移


 チャート的に特出することは、この曲はCDシングルのリリースは無いんだよな。だから総合チャートの要素として、上図でも分かるように、CDセールスの得点は「0」。全く含まれていないって言うところだろう。
 その代わりの牽引要素は、ネット配信中心だった事は言うまでも無い。
ただ、ネット配信だけのランクが良かったのか・・・というとそうではないんだよね。
ネット配信の動きに伴い、有線、ラジオチャートでも長期上位に君臨。このように販売系、メディア系と、幅広い要素がそれぞれリンクし合い同時期にチャートの上位を占めていたたことが、得点アップの原動力になっている。
この点が、昨年までの「ネット配信」中心の楽曲とは、やや異なってきた点ですね。

たしかに、昨年までもネット配信で長期上位に君臨し続けた曲もありました。
でも、この「前前前世」と若干違うのは、ネット配信は強くても、有線、あるいはラジオという、いわいるメディア系チャートは必ずしも上位までこれなかったって事なんだよね。

これらを比較するために、昨年2015年の年間1位だった、西野カナの「トリセツ」の各要素別ランキング推移を、昨年に引き続き、再度、下図に載せてみます。

トリセツランキング推移


これを見ても分かるように、この曲もネット配信中心の「前前前世」と同様な傾向の曲であったんだけども、その他ネット配信同様な動きを見せていたのは有線だけだったんですよね。ラジオチャートも当初はシンクロした動きだったけども、途中で息切れしてしまった。

このように各要素でのチャートアクションに差が見られたと言う事。 だから、配信チャートだけを見るとポイントを稼いでいるが、総合的に見ると、それほど得点が伸びなかったって事が多かったわけでさ。
昨年の例で言えば、その他、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I」なんかは典型的だったかな。

でも、この「前前前世」は、CDシングルはリリースしていなくても、有線、ラジオなどメディア系にも充分アピールでき、それにより、より幅広い支持を獲得できた、つまり、ネット配信が、昔のレコード、CDの完全に代わりになっているっていうところは、これまでのヒット曲からみると、ちょっと違った形のヒットだったと言えるだろうね。

 年間4位の宇多田ヒカル「花束を君に」も、ネット配信中心と言う点では、「前前前世」と同じような傾向の曲であったといえる。
 ただ「花束を君に」は、途中でラジオチャートが息切れして、最終的にはネット配信と有線の2要素でチャートを牽引し、得点を積み上げてきたって言う傾向に移行した訳で、そう言う点では、昨年の西野カナなどに見られた傾向と同じような感じになってしまい、それだけランクイン期間が非常に長いロングヒットになったが、思ったよりは得点が伸び切れなかったとも言えるかもしれない。

このようにシングルCDがリリースされていないということは、CDセールスの得点は「0」になるわけで、ウイークリーでの得点は大きく伸びる事は期待できない。だから見た目上、派手なチャートアクションをすることは難しい。
でも、各要素で、地道に得点を伸ばせば、結果的に派手なチャートアクションをしているよりも、最終的には得点を伸ばせるというのは、これらの曲によって充分証明出来たんじゃないかと思う。

このようにシングルCDという、いわいる「パッケージ」に必ずしも頼らなくても、浮動票を噛むような幅広い支持を得られるヒットが「本格的」に生まれるようになったというのも2016年の特徴だったろうし、恐らくこういう傾向は、ますます今後の主流になって行くだろうね。


で、同じような傾向にあったのが、年間3位まで浮上した、星野源の「恋」。
この曲もリリースは10月だから、RADWIMPS「前前前世」同様、下半期だけでここまでランクを上げてきた1曲となるわけだけど、何より、僅か3ヶ月で、年間3位まで上げてきたっていう「爆発力」が、この曲の特出点だろうね。
まあ、それだけ秋以降の「逃げ恥」と「恋ダンス」のブームの凄さを表しているところなんだけどさ。

下図Fig.4に「恋」の各要素別ランキング推移を上げてみました。

4-恋_星野源_各要素ランキング推移


 この曲のランキング的な特徴は、もちろんネット配信での圧倒的な人気。配信開始以来年末まで10週連続で1位という圧倒的強さを見せている事は勿論、CDセールスでもロングセラーを続けている事。
 ネット配信では圧倒的な強さを見せるような曲では、CDセールスも初動こそ強さを見せつつも、あっという間にランクを下げるっていうのが、チャートアクションのデフォルトである昨今では、これは異例な傾向。
そそそ、ネット配信もCDセールスも両方で強い・・と言う傾向ですね。 それだけ、この曲の人気の幅の大きさを物語っている訳なんだけどさ。 そんな販売系チャートの動きに引きずられた形で、有線、ラジオのメディア系チャートでも、上位をロングラン。 その結果、毎週のウイークリーチャートでも、初登場以来ベスト3以内を11週間ずっとキープ。そのうち、1位を5週獲得・・・と。これまた、最近では異例の1位獲得週数を見せた。
 昔は、毎年年間に何曲かは、こういう曲が出てきたものだけど、こういう本当の意味でヒット曲、それも強さを伴ったヒット曲を久々に見たような感じですわ。
 正直、猫の目チャートが一般化された昨今、一時は、もう、こういう本当の強さを感じるヒット曲、幅広く支持されロングヒットは出てこないんだろうなと思ってはいたけどね。

でも、今の時代でも、こういう強さを感じるヒット曲が出てきた訳だし、いや、逆に今の時代でもこういうヒットも出る事を証明したわけだしね。
あとは、こういう曲が今後も増えて行って欲しい訳ですわ。 そうなった時に、本当の意味でヒットの「V字回復」が成ったと言える訳だしね。
 そのためには、去年がフロックだったと思わせないように今年のヒット曲状況も大事。 2016年以上にこれらのようなロングヒットが出て来て欲しい訳ですわな。


P,S 長文、乱文、まことに、相スミマセン。。