今回の1曲セレクトは、「冬の色」山口百恵です。
まずはデータです。
・タイトル 冬の色
・アーティスト 山口百恵
・作詞 千家和也
・作曲 都倉俊一
・編曲 馬飼野康二
・リリース日 1974年12月10日
・発売元 CBSソニー
・オリコン最高位 1位
・売上げ枚数 52.9万枚
・オリコンベストテン期間:1974年12月23日〜1975年2月24日付
今、元CBSソニープロデューサーの酒井政利氏の著書「プロデューサー」っていう本を読んでいるのね。
これが結構、参考になるんですわ。一応、業界人の「端くれ」を自負しているものにとっては。
曲の創り方、プロデュースの仕方は、それぞれのプロデューサーやアーティストによって考え方がいろいろあるわけで、必ずしも答えは一つではないんだけども、ワタシ的には、やっぱりリリースするんなら、「売れる」ことが一番だと思うわけなんだよね。
「おしりかじり虫」の歌詞の文句ぢゃないけど、「売れてナンボの商売」だと思うわけなんですよ。
もちろん、売れなくてもいい曲はいっぱいあるし、CD売れなくてもいいライヴができればそれでいい、っていう考え方もあるんだけども、個人的には、基本、やっぱりCDをリリースする限りは、売れなきゃダメっていう考え方なんだよね。
売れることで、聴き手も幸せになるし、出しても幸せになるわけで、それこそwin to winの関係になると思うんですよ。
その点、酒井政利氏は、これまで、南沙織を始め、郷ひろみ、山口百恵、キャンディーズ・・・等々、70年代〜80年代のレコード売上げシェアの5%を一人で売上げてきたスゴイヒトだから、「売れる曲」のノウハウって人一倍持っている方なんだよね。
だから、読んでいて売れる曲のプロデュースの仕方、考え方っていうノウハウは勉強になるんだよねぇ。。。
もちろん、最近よくある「強引」な売り方は「×」ですよ。A氏率いる某グループとは言わないけどさ
あくまでも、楽曲のよさ、実験性、アーティストの特性を充分考えた上での売り方のノウハウですね。
・・・ということで、前置きが無くなっちゃったけど、その酒井政利氏がプロデュースした、山口百恵の「冬の色」を持ってきました。
・・・っていうのはいいんだけど、この曲、山口百恵としては、かなり初期の曲なんだよね。果たして、これ読んでくれている方のどのくらいの方が、曲を知っておられるか、ちょっと不安なんだけど・・・。
でも、この曲で、山口百恵ってオリコンで初めて1位を獲得してるんですよ。
初期で有名な曲っていったら、74年の「ひと夏の経験」だと思うんだけど、(♪あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ〜♪っていうあれね)、でもオリコンで1位は取ってない。最高3位だからね。
で、1曲挟んで、この曲で初めて1位を獲得するわけです。
ちなみに、昭和40年代最後の1位獲得、昭和50年代最初の1位獲得曲でもあるんだけど、最近は、平成10年代とか、言わなくなったよなぁ。
今年は平成20年だから、そろそろ平成20年代最初の1位〜とか、いってもいいような気もするんだけど・・・
なんて、話がずれだけど、この曲のどこが、そんなに良かったんだろ?
っていっても、正直、ワタシもよく分らないんだよね。インパクトの点からすると、どうしても「ひと夏の経験」の方が上だし・・・。
何分 ♪ あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ〜♪
だものね。
前回のバービーボーイズの「目を閉じておいでよ」ではないけど、やっぱし「きわどい」ところがインパクトになっているわけです。
うん歌謡曲の基本ですなこれは。。。
そこからみると、この「冬の色」は歌詞の点でのインパクトは、いまひとつはっきりしないし。。。
そう考えると、メロディライン、サウンドなのかなぁ。
確かに、出だしの
♪あなたから許された口紅の色は からたちの花よりも薄い匂いです〜♪
のAメロの部分は、どことなく、ラテン色があるような「ムード歌謡」っぽい流れが独特だしね。
これは、ちょっと、固定ファン以外も狙ってるぞ・・・っていう匂いはする出だしの流れですわね。
ただ、サビの
♪恋する気持ちに疑いなんて入れる隙間はありません〜 ♪
のメロディラインは、いかにも「70年代歌謡」っていう王道を行くような、ちょっと大げさな流れで、今からすると、ちょっとダサイんだけどさ。
でも、当時からすると、これが定番っちゃ定番な流れだったんだろうね。
うん、いかにも馬飼野康二氏が好んでアレンジするような・・・。
そういういみでは、Aメロは、それまでにない山口百恵 プラス、定番のサビっていう流れで、一見新しそうに見えて、実は定番なんですよ〜っちゅう、斬新性と定番性を組み合わせた曲って感じが、一見新しく見える(←この表現、ヘンだね)、そういう曲なんだよね。
ちなみに、この曲はオリコンで初登場18位。登場2週目で1位獲得・・・なんちゅう、当時としては、かなーり、すごいチャートアクションを展開しております。(1位は5週連続)
うん、この時点では、オリコン史上では「初登場1位」という曲は、まだ存在してませんでしたから・・・。
売上げ52.9万枚っていうのも、「横須賀ストーリー」の66万枚、「いい日旅立ち」の53.5万枚に次ぐヒットであったりします。
山口百恵の場合は、大体、年に1曲が「勝負曲」となっていたわけだけども、次の勝負曲は、76年の「横須賀ストーリー」になるわけです。その間の1年半は、そこそこって感じで、あんまり有名な曲がない、ちょっと空白の時期だったんだよね。
山口百恵とて、全ての曲が「勝負曲」ではなかったわけです。
個人的には、リアルタイムで経験した78年以降は、すべて「勝負曲」のようにも思えるんだけども、必ずしもそうではないんだよね。
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