1978_10_埠頭を渡る風_松任谷由実


今回の1曲セレクトは、「埠頭を渡る風」松任谷由実です。

まずはデータです。

・タイトル     埠頭を渡る風
・アーティスト  松任谷由実
・作詞       松任谷由実
・作曲       松任谷由実
・編曲       松任谷正隆
・リリース日    1978年10月5日
・発売元      東芝EMI
・オリコン最高位 71位
・売上げ枚数  1.9万枚

急に寒くなりましたね。 ワタシ、布団は、まだタオルケット1枚なのよ。 いやいや、さすがに昨夜は寒かった。
いい加減、掛け布団出さなきゃ・・・ってところなんだけど、掛け布団、出して1度天日で干さないと、若干湿気っぽいんだよな。
本来なら、祝日だった今日とか布団干ししたかったんだけどねぇ。。雨ではねぇ・・・。
・・かといって、湿気っぽい布団で寝る気にもならず、今日もタオルケット1枚で寝ることになるんだろうな。。。。

・・・ということで、こう、寒くなって来ると、ちょっと温度感が低い曲を聴きたくなって来る。

なんじゃ、温度感が低い曲っちゅうのは・・・  ってところなんだけども。。。

単純に秋っぽい曲・・・ではなく、ちょっと寒風を感じる曲って感じかなぁ。 特に今日のように、雨からどん曇りの暗い1日だった今日のように日には。。

・・ということで、引っ張ってきた曲

ユーミンの「埠頭を渡る風」

いやいや、前回の1曲セレクトは、三善英史さんの「雨」だったのに、今回はユーミンですかい

なんですか、この落差は・・・・

なんて言われそうだけど、このゴッタ煮状態が、1曲セレクトのいいとこなんですよん    

・・・・なんて自画自賛したりして。。。

個人的にこの曲のイメージってモノクロなんですねぇ。 初めて映像込みで聴いた時の映像がモノクロだったのかなぁ。 その辺は覚えていないけど、兎も角、この曲を聴くとモノクロの映像が浮かんでくる。

場所は横浜。赤レンガ倉庫から大桟橋あたりの風景。

どうもね、ヒット曲→港・・って言う風景だと、いつもあの辺の光景が浮かんできてしまう。 

河合奈保子さんの「愛してます」とかね。 まあ、この曲の場合、歌詞にダイレクトに「横浜」ってあるんですが・・・。

でも、この曲から浮かんでくる景色も同じなんだよなぁ。 ただ、河合奈保子さんの「愛してます」がカラーの風景に対して、この曲は絶対的に「モノクロ」なんだよね。

それだけ古さを感じる・・・と言う訳ではなく、それだけ大人の情景を感じるんだよね。「シック」なんですよ。

・・・なんて、この曲の舞台は、あくまで横浜って言うワタシなんだけど、実際は東京の「晴海ふ頭」をモチーフにした曲のようですねぇ〜。

うーむ、晴海ふ頭ねぇ・・・。     個人的には、晴海ふ頭って言うイメージは、あんまり浮かんでこないんだけどなぁ。。。

どうもね、個人的にヒット曲から浮かんでくる風景と、作詞者が実際にモチーフにした風景がずれてる曲があったりするんだよなぁ。

例えば、東京JAPの「摩天楼ブルース」ってあるじゃん。そそそ、きょんきょんが主役だった「少女に何が起こったか」の主題歌だった曲。
あの曲、モチーフは、絶対に新宿の高層ビル街だと思ってたの。 でも、作詞の売野雅勇氏曰く、モチーフは横浜だったんだってねぇ。 いや、全く横浜なイメージは無かったんだけどなぁ。

なんか、今回のユーミンの「埠頭渡る風」も含めて、全く逆なイメージを持ってたような感じの私なんですけど。。。

でも、この曲が個人的に横浜っぽく感じたのは、多分に曲調にある様な気がするんだよな。

この曲ってもろ、フィラデルフィアサウンドじゃん。 

この曲からモノクロのイメージを感じたのは、ココ・・・フィラデルフィアサウンドってところなんだろうな。

まあ、あくまで個人的なイメージなんだけども、フィラデルフィアサウンドって、どこかモノクロに感じるんだよね。
色が無い・・というわけではなく、あくまでアメリカ東海岸のイメージからそう感じるんだろう。
ウエストコーストの温暖で明るいイメージとは逆に、東海岸てうっすら寒くて暗いイメージがあるんだよね、個人的に。 そんなイメージからモノクロさを感じるのかもしれない。

下敷きは、The Stylisticsの「Can't Give You Anything (But My Love)」(愛がすべて) あたりなんじゃないのかなぁ。  

めっちゃメジャーな曲だし、ユーミンのダンナたる方が、こんな誰でも知ってる曲を下敷きに持ってくる訳無いような気もするけど、ブラスの使い方、特にトロンボーンのフレーズが似てるんだよなぁ、「愛がすべて」に。
なので、どうしても、そう言う目で見てしまうワタシがいたりして。

でもさ、逆にだからこそ、この曲についつい、耳が行ってしまうワタシがいたりもするんだよな。

・・・というのも、The Stylisticsとかさ、この辺のフィラデルフィアサウンドが、実はワタシの音楽の原点の一つでもあったりするのよ。
 
ここでも何回か書いたことあるんだけども、邦楽ヒットに足を踏み入れる前は、ポールモーリア・フリークだったワタシなんだけども、かたや、70年代中期のアメリカンヒットも聴いてたんだよね。

件にもれず、当時、オヤジの車のカーステで頻繁に流れてた8トラックカセットに、76年頃のアメリカンヒットがあってさ、その中に入ってたのよ、The Stylisticsなんかのフィラデルフィアサウンドの曲が。

だから、その辺の曲がワタシの音楽の血肉の原点でさ、中学校の時、吹奏楽部に入ったのもその辺の曲をやりたいって言う思いが強かったのかもしれない。

そういう経緯もあってか、ユーミンの曲の中でも、個人的には、この曲好きなんだよなぁ。

まあ、セールス的には全く売れなかったけどさ。 78年当時のヒット界の状況を考えると、先端の音楽をやってたよなとは言える。

って書くと意外かもしれないけどさ。  

だってさ、ブラスにストリングスなんて、当時の歌番組のバンド編成をみたら、当たり前の編成だし、そんな歌謡曲いっぱいあったじゃない!? ・・・ってところだけども、それを「ユーミン」っていう一個人でやっちゃうのがすごいんだよね

簡単に言っちゃえば、金のかけ方が違うんだよね。  

これだけの大編成ともなれば、ミュージシャンのギャラだけでも大変な額になるはずでさ。
しかも、この曲のレコーディングミュージシャンがすごいのよ

Dr.    林立夫
B.     高水健司
E.G    鈴木茂
Key.   松任谷正隆
Per.   斉藤ノブ
Tp     羽鳥幸次 数原晋
Tb     新井英治
Sax   ジェイク・H・コンセプション
Fl      衛藤幸雄 西沢幸彦 
Strings    TOMATOグループ
etc

件の「ニッポンの編曲家」で紹介されている一流ミュージシャン、全員集合って感じじゃん。

 ビジネス的にそろばん勘定すれば、ココまでの一流ミュージシャンが集合した大編成曲は、よっぽど大ヒットが見込めない限りはやらない・・・いや、やれないハズなんだよ、一介のアーティストでは。

少なくとも当時のロック・ニューミュージック系のアーティストでは、やりたくてもやれないような楽曲。 そう言う意味で先端の曲と言えると思うんだよね。

もっとも、バックにタイアップのスポンサーがついてたり、メジャーなプロダクションがついてて豊富に製作費がつく曲ならともかく。。

この曲の場合、リリース当時は、あくまでアルバム「流線型'80」の先行シングルということだけで、大きなタイアップがついていた訳ではないから。

しかも、当時のユーミンって、アルバムを含めてセールス的に苦しんでた時期なんだよね。 
デビュー以来現在までの47年間の中でも一番苦しんでいた時期と言ってもいいかもしれない。
この曲の↑のデータでも分かるように、この曲なんて2万枚も売れなかったんだから・・・。あのユーミンが。。
まあ、アルバム収録と言う事で、実際のところそれほど深刻ではないけど、シングルだけの売り上げの数字だけ見たら大赤字ですよ。
70年代中盤、「あの日に帰りたい」の荒井由実時代も過去のモノになりつつあったこの時代。 
製作費も縮小っていうのも、やむを得ないハズなのに、この曲のような大編成なわけだからさ。

この辺り、80年代の栄光を見据えた、つまりは先行投資というべきか。
それが、「流線型'80」なんていう、あたかも栄光の80年代を予感させる様なタイトルのアルバムに収録されているって言うのが、如何にもユーミンらしいんだよな。

でもさ、ユーミンが常々口にしてる、貧乏くさい音楽はキライだしやらない・・・っていうのは、結局はこういう事なんだろうね。




しかしねぇ、レコード制作での金のかけ方と言う事で、ユーミンの右に出るものは居ないような事を↑で書いちゃいましたけど、ユーミンを上回る人が一人いましたね。

大滝詠一氏。

「A LONG VACATION」での製作費は一体いくらかかったんでしょ・・・ってくらい湯水のごとく製作費をつぎ込んだ1枚ですから。。。
なんせ「君は天然色」のアコギだけで4人も使ったって言うんだから・・・・。
今じゃ、逆立ちしてもあり得ないですね。

それだけ当時の業界は景気が良かったし、みんないい曲作りたいっていう気概があったんだろうな。




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