先日の台風15号の千葉での被害もあり、書くのを延ばし延ばしになってしまっておりましたが、9月8日(日)、ケモノディスクさん主催、「編曲家という仕事 vol.2〜歴代のヒット曲を中心に辿る船山基紀の世界〜」に参加してきました。

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場所は、今年1月に開催された「編曲家という仕事 vol.1」同様、東京・三軒茶屋のライブハウス「グレープフルーツムーン」。

vol.1については

編曲家という仕事〜男性アイドルの楽曲を中心に辿る船山基紀の世界〜


今回も前回に引き続き、70年代以降のヒット曲には欠かせないアレンジャーの一人である編曲家の「大御所」、船山基紀氏の、これまでの大ヒットアレンジ曲をについて、他では聞けない()秘話をご本人を交えたトークライブ。

前回は、ゲストMCとして、NONA REEVESのボーカリスト・西寺豪太氏ということで、アーティスト視点から見た、船山氏のアレンジについてのトークが中心。

それに対して、今回はゲストMCとして、元キャニオンレコードのディレクター、羽島亨氏を迎えてのトーク。
レコード会社のディレクターということで、今回は楽曲制作側から見たアレンジャー・船山基紀氏の魅力が中心のトークライブでした。

羽島氏といえば、キャニオンレコードで、トシちゃんのデビュー時からのディレクターとして、いわば「歌」の面でのトシちやんの育ての親的存在。

船山氏もデビュー第2弾の「ハッとして!Good」からトシちゃんのアレンジャーとして関わってきた訳で、、もちろん、トシちゃんの関連の「秘話」が楽しみだった。

実際、最初にお二人がトシちゃんの楽曲で関わることになる「ハッとして!Good」の制作については、いろいろ興味深い話が聞けましたね。

それらを含めた、トーク内容の詳細は「けものでぃすく」さんのサイト

編曲家という仕事 vol.2〜歴代のヒット曲を中心に辿る船山基紀の世界〜

に詳しく記載されているので、参考にしていただけばと思います。
(※えー、参加者全員で撮影した集合写真がありますが、ワタシは写真右端の壁傍にいたため映ってません。。。。)


個人的に、今回のトークライブで印象に残ったのは、個々の楽曲についてのアレンジについてもそうなんですが、レコードメーカーディレクターとしての、楽曲制作過程の話についてですね。

もちろん、レコード会社での楽曲制作の経験は無いワタシですが、昔、某着メロサイトで着メロの楽曲配信ディレクターをやってたんだよね、ワタシ。

実際の楽曲制作過程と、着メロ制作配信過程の流れ・・・、話を聴いてるとめちゃくちゃ似てるなって言う印象。

もちろん、レコード会社での楽曲制作は、全く「ゼロ」から楽曲を制作するという仕事。 対して着メロは既にリリースされている曲をmidiに興して配信するという、いわば楽曲2次利用の仕事。

そんな違いはあるものの、「音」を制作して、より多くのユーザーに楽曲を届けると言う流れには変わりが無いんだよね。

レコード会社のディレクターは、「売れそうな」曲をゼロから企画し、作詞・作曲者に発注、出来あがった「デモ」ノアレンジャーに楽曲装飾してもらいレコーディング⇒リリースと言う大まかな流れがあると思う。

それに対して楽曲配信ディレクターっていうのも、次「売れそうな」曲を掘り起こし、それらをmidiを制作する楽曲制作チームに制作を発注、 出来あがってきたものをリリースという大まかな流れがある。

もちろん、プロとしての仕事なんで、当初、どの曲をいつ、どのタイミングで配信するか、どういう見せ方(サイトページ構成)で配信するかというのも、予め決定した上での発注となる。

つまりは、制作期限付きでの発注ですね。

こういった制作の流れの話を聞くうちに、「あ、同じだ!」と言うシンパシィが湧いて来たのは言うまでもなかったなぁ。

特に
・「売れる曲」とはどういう曲か、直近のヒット曲の傾向、オリコン上位曲の楽曲傾向の研究の話
・レコーディングまでギリギリの時間の中でも船山氏し、きっちりアレンジを仕上げてくれた

って言う話は、めっちゃ、ワタシの経験とリンクしていて、思わず頷いてしまった。

オリコン上位の楽曲傾向の研究については、まあ、ここのブログを読んでくれてる方にはお馴染みの事だけど、今でもワタシの「ライフワーク」になっている事。

ただ、「レコーディングまでギリギリの時間の中でも船山氏し、きっちりアレンジを仕上げてくれた」に思わず頷いてしまった・・・っていうのは、これは実際に着メロ配信ディレクターをやった方ぢゃないと、ピン と来ないかもしれない。

いや、着メロの「配信ディレクター」でもバックにレコード会社が付いていて、早くから新曲のCD音源が手に入る様なサイトをやられていた方にはこんな必要が無かったかもしれない。

でもワタシが関わっていた着メロサイトは、今はニコニコ動画で超有名になった某IT会社なんだけど、元々はゲーム会社であり、当時はその中でも弱小の後発会社だった。 つまりは、バックにレコード会社などついてる訳もなく、全て「手作り」で「音」(midi音源)を制作し配信するしかなかった。

一番大変だったのが「新曲」のリリース。 新曲はCDリリース日の午前10時から配信を開始する・・って言うポリシーの元、配信運用していた。
今でもそうだけど、新曲は大方水曜日にリリースだから、新曲「音」配信は毎週水曜日、CDショップの開店時間に合わせて配信って訳ですね。
これをユーザー側も熟知していて、CDリリース日の午前10時を1分でも新曲配信が遅くなると、たちまちユーザーサポートはクレームの嵐となる。 それはそれはシヴィアなんですよ。

一番のネックは、毎週水曜日に規定時間に新曲が配信できるよう音制作の時間を如何に取れるか・・と言う事になる。

でも、うち等はレコード業界とつながりが無かったんで、予め新曲音源を手に入れるのは無理。
結局は市販のCDから、「耳コピ」でmidi音源を制作することになる。 これは、新曲のみならず全ての曲でそうだったのだが・・・。

そこで採用したのが、公式のリリース日と実際CDショップにCDが並ぶ時間差。 水曜日リリースと言っても、実際にCDショップにCDが並ぶのは、大体前日火曜日。だから、毎週火曜日、前週の木曜日に「選曲会議」で決定していた配信楽曲のCDをショップでまとめて購入。いわいる「フラゲ」を大量に行うんだよね。
 購入後、即、midi音源の制作に取り掛かってもらい、翌水曜日の午前9時30分までにmidiファイルを納品してもらう、
おおよそ20数時間で仕上げてもらうと言う強行スケジュールを毎週毎週行っていた。

これがかなりスリリングなんですよ。 10時近くになってもmidiが納品されてこないこともあれば、こちらが指定した曲と違っていた事もあったな。兎も角、毎週がスリリングだった。

羽島氏の話のなかで、船山氏が作ってきたイントロが、一度使ったイントロ全く同じ事があった・・って言う話からは、そんな、こちらが指定したいた曲と違った曲が納品されてきたときの戸惑いを思い出してしまいましたよ。

苦労続きで胃が痛くなるような仕事ではあったんだけども、不思議とそんな仕事が楽しかったんだよね
苦労続きでも、物をクリエイトとしているって言う充実感っていうのかなぁ、この充実感は実際に体験してみないと分からない感覚なんだなぁ。
羽島氏も全く同じ事を言っておられ、ますます、シンパシィを感じてしまったな。


・・・etc、ほとんど、私の体験談とリンクしながらのトークイベントでしたが、今回も貴重な話がいろいろ聞け勉強になりました。

このイベントはぜひ続け欲しいなぁ。 前回も同じことを書いたんですが、第3弾は「女性アーティスト編」を是非。 

今回も、山口百恵さんの「パールカラーにゆれて」が取り上げられましたが、他にも秘話を聞きたい曲があるなぁ。
来月、船山氏も出演される渡辺真知子さんのライブが東京国際フォーラムで行われるとのことですが、こちらのイベントでも是非行っていただけないでしょうかねぇ。

最後に、今回もトークライブを企画していただいた「けものでぃすく」の皆さま、ありがとうございました。また、参加させていただきたいです

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ちなみに、来月10月に船山氏の著書「ヒット曲の料理人 編曲家・船山基紀の時代」がリリース。
こちらにも、今回のトークライブで話された内容が含まれてる・・・かも。

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