昨年あたりから一度参戦してみたい・・・と思っていた黒木渚さんのライブ。
今回ようやく参戦する機会が出来た。

ワンマンツアー 2016スプリング「ふざけんな世界、ふざけろよ」ファイナル東京公演。

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いや、本当は、今年1月のEX THEATER ROPPONGIでのライブも一応チケットは押さえていたんだけども、体調が悪くて行かなかったんだよね。
 でも、今回東京国際フォーラムでライブがあると言う事が分かり、早速チケットを購入。今回リベンジ参戦とあいなった訳ですわ。

平日金曜ではあったけど、18時30分開場、19時30分スタートということで「会社人」のワタシとしては優しい時間帯って言うのもあった。
 何分、会社退社時間が18時30分なもんで。。。 だけんど通常は、周りの目を気にして19時前には退社しないけど、本日は、18時30分きっかりに退社。19時過ぎには会場に着いた。

ただ、開演まで30分弱というのに、お客さんの数はまばら。
2月に行った中野サンプラザの山下達郎コンサートの時は、開演30分前にはほぼ席が埋まっていたが・・・お客さんの出足が悪い。私は3階席だったが、ワタシの列は私しかいなかった。。。

 これまでライブハウスで数百人規模でのライブ中心だった訳で、東京国際フォーラムの「ホールC」とは言え、いきなり1500人規模の会場は荷が重かったか・・・と感じたが、開演直前に次々に席が埋まり、最終的には9割ほどが埋まった。 やっぱり平日とあって仕事終わりのヒトも多かったため客足は遅かった訳か
でもまあ、超満員ではなかったが、初めてのホール会場のワンマンライブとしては、まずまずの客足ではなかったか。

ちょっと意外だったのは客層。 黒木渚さんと言えば「今」のアーティストですわ。決して過去のヒトではない訳で。それにこれまでライブハウス中心に活動してきたヒトですわ。だから、お客さんは大半は20代の若者層だろう・・・と思ってた。
 BUT、さにあらず。如何にもいい年・・・っていう年齢の方も意外と目立つ。まあ、ワタシもその一人なのだが。。。
なるほど、実際は、結構幅広い年齢層から支持されているんだな。


開演予定時間19時30分から、やや遅れて開演。 

まずは、昨年リリースアルバム「自由律」からの「大予言」を振り出しにアッパーチューンが続く。

でもどうだろう? どこか今一つぎこちなさを感じる。本人の歌唱とバックバンドのピッチがずれて聴こえる。

3曲目のキラーチューン「革命」も、今一つ思ったよりこちらへ迫ってくるような迫力を感じない。

うーん、このヒトはライブが命とも思えるんだけど、ライブではこんなものなのかなぁ、ちょっとハズレだったかなぁ・・・なんて感じた。

だけども、その独特なアバンギャルドさは健在。
アバンギャルドなアーティストといえば、初期の椎名林檎さんも独特なアバンギャルドさを持っていた。。
けど、あの感じと、このヒトの持つアバンギャルドさっていうのは、違うんだよね。
椎名林檎さんは、アバズレた女なイメージはあったものの、もっとオーバーグラウンドな雰囲気があった。昭和で言えば60年代〜70年代のヤクザ映画にでも出てくるようなアバズレた女。自らも語っていたようにあの頃の新宿界隈の猥雑な世界のアバンギャルドさ。

 それに比べて、このヒトは、もっとアンダーグラウンド的な匂いがするんだよな。椎名林檎同様、同じ60年代〜70年代に例えてみれば、もっと世相に近いところのアバンギャルドさ。例えば当時の安保闘争の裏側に広がっていた世の中に対してのやり切れなさ・・・というところから発せられるアバンギャルドさっていうのかなぁ。。。
ちょっといい表現の仕方が出来ないけど、あの時代で言えば浅川マキさんとか、そんな匂いがしてくるんだよな。

↑で、いい年の方が意外と多くみられた・・・って書いたのは、もしかすると、その辺りも関係してくるのかもしれないな。


ちょっと本題からずれた。。。

ともかく、ライブ前半は期待外れ・・・とは行かないまでも、ややぎこちなさを感じた。
このまま終わりまで行くのか・・・とも一瞬思ったが、実際はここからが「本番」だったんだよね。

途中、個人的にはライブでは初めてだったけど、芝居・・・というか黒木さん自身の詞の朗読を挟む。
舞台装置が少し転換される。

この8曲目の「エジソン」と言う曲から、バラードandミディアムチューンナンバーのゾーンに入り、黒木さんの声の調子が俄然よくなった。
特に高音の伸びが素晴らしい。低音〜中音部の太い声質から、ソフィケートされクリアで伸びのある高音。

なるほど、もしかして、ここがこのヒトの「本質」かもしれないなぁ。

確かにCDを聴いてる分では、低音〜中音の、ルックスからは想像つかないドスが利いた太い声質っていのうが、このヒトの、これまでのイメージだったんだけど、本質の所はそうじゃないのかも・・・これは、ライブで「生」でこのヒトを見なければ分からない部分かもしれないし、少なくともこれまでのシングルではそう言う部分は魅せてこなかった・・・とも言えるかもしれない。

と、同時に流石はライブで育った人だけあるな・・と改めて認識。前半、ピッチがずれて今一つ、こちらへ向かってこなかったのは、単に声の「エンジン」がかかって無かったなのか

兎に角、少し、このヒトに対するイメージが変わったな。 

これまでの主なシングルで魅せて来ている、挑発的な部分はあくまでポーズであり、切々と歌いあげる曲にこそ、このヒトの本質があるのかもしれない。
特に、12曲目の「はさみ」、13曲目の「アーモンド」は良かった。
思わず、このヒトの異空間世界に引き込まれてしまうような・・・そんな感覚になりましたね。

でも、その部分が分かっただけでも、来て良かったと思うな。

その部分については、アンコールで演ってくれたが、今度7月1日から配信限定でリリースされる「灯台」という曲で存分に分かると思う。


最後にセットリストは以下の通り

1  大予言
2  テーマ
3  革命
4  枕詞
5  ウェット
6  プラナリア
7  ふりだし
8  エジソン
9  おんな・おとこ・おんな
10 懺悔録
11 カイワレ
12 はさみ
13 アーモンド
14 君が私をダメにする
15 ふざけんな世界、ふざけろよ
16 虎視眈々と淡々と

アンコール
灯台
あたしの心臓あげる


ツアーも昨日で最終日だったんで、今回はセットリストを載せてみました。


 ちなみに、ライブが終わって終わって、収録曲が、今回のセットリストにも多数入っているアルバム「自由律」を聴きながら帰宅したんだけども、やっぱりライブのあの迫力、感動がCDでは今一つ伝わってこない。
 CDっていう「器」の中に押し込まれてしまっているような、そんな感じに思えるんだよね。 そう言う意味では、やはりこのヒトはライブじゃなきゃ、本当の部分は分からないのかもしれない。

でも、この感覚、昔もあったんだよな。 

そうだ、以前「1曲セレクト」でも書いたことあるんだけども、昔、ヒット曲を聴き始めた頃は、レコードで聴くよりも、テレビの生演奏の方が、ダイレクトにウタの感動が伝わってきた事があった。
ツイストの「燃えろいい女」とか「性」とかさあ、レコード聴くよりもベストテンの生演奏の方が、全然よかった。臨場感というかさ、感動の仕方が違うんだよね。レコードは今一つちゃちく感じるんだよな

その感覚に近いんだよね。

そう言う意味では、最近は、また昔のようにCDで聴くよりも生で聴いた方がいい・・・って言う時代になったんだと改めて思うんだよね。
 なるほど、CDが売れず、逆にライブは盛況・・・っていうわれが、この辺りからもよく分かる訳だよな。

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蛇足だけど、実は、今回が初めての東京国際フォーラムでのライブ参戦だったんだよね。
なるほど、音質はまずまず良いし、客席ピッチも広い。
流石になかなかいい「ハコ」ですね。 これは、この先もたびたび利用したくなるな・・・と思わせてくれるよなぁ。